キュレーションメディアの意味とは?作り方や問題点についても解説

キュレーションメディアという言葉は、マーケティングを実践しているとよく聞くキーワードの一つです。しかし、意外とその意味や役割、問題点などは知らないのではないでしょうか。今回はこのキュレーションメディアについてご紹介します。

キュレーションメディアの意味

キュレーションメディアの意味

キュレーションメディアとは、特定のテーマをもとにして、それに関連する情報を広大なネットの情報の中から採集し、見やすい形で編集して読者に届けるメディアのことを言います。多くの候補の中から的確に選択を行うことが、美術館や博物館で企画テーマに合わせて展示するものを選ぶ「キュレーター」に似ていることから、こうしたメディアをキュレーションメディア、キュレーションサイトと呼ぶようになりました。

キュレーションメディアの役割

キュレーションメディアは、情報があふれ過ぎて何を見て良いか分からない一般の人に向けて、さまざまな情報を取捨選択し、分かりやすいひとつのパッケージに作り替えることに意味があります。それによってユーザーは、自分で情報を探す手間が省け、また、重要な情報を見逃すこともなく、さらに間違った情報に振り回されることもなくなります。ちょっとした空き時間に手際よく情報収集を行えることから、日常的にキュレーションメディアを使っている人も多いでしょう。

一方、キュレーションメディアの運営者側からしてみると、自分で情報を生み出す必要がないので効率よくメディアを運用できます。また、特定のテーマに関心を持ったユーザーを集められるため、そこを収益源としたり、自社で行っている本来のサービスに誘導したりすることも可能です。

キュレーションメディアの収益化の仕組み

このようにキュレーションメディアは低いコストで運営でき、アクセスを集めればそれだけ収益も期待できる効率の良いビジネスモデルと言えます。では、具体的にどのようにして収益をあげるのかを見ていきましょう。

キュレーションメディアから収益を得る方法としては主に4つの方法があります。それは自動広告、有料課金、成功報酬、商品販売です。これらは単独で用いられるだけでなく、複合的に組み合わせて収益を拡大させることもできます。CPC課金やCPM課金といった広告収入は、簡単に導入できますが、もっとも利益の少ない収益化の方法です。記事を読むために課金制度を設ける方法は自社で作ったコンテンツに適用できます。成功報酬は他社の商品などを販売できたときに、商品販売は自社の商品を販売できたときにそれぞれ収益が発生します。

キュレーションメディアで扱われるコンテンツ

キュレーションメディアは、どのようなテーマであっても、それにマッチした内容の情報を集めてくれば良いので、特に分野を限定されることはありません。ただ、実際に多くのアクセスを集めないと収益につながらないため、下記のような作られ方をすることが多くなります。
まず、特にジャンルを設けず、日常的な情報を扱う総合型です。たとえばこれまでも大手のポータルサイトでは新聞社などから記事を購入して配信するモデルはありました。これに対してキュレーションメディアでは、個人ブログやSNSの投稿からも情報を収集し、よりユーザーに近い距離でコンテンツをまとめます。マスコミが報じる一次情報はどこも似たり寄ったりですが、それに対する反応にはさまざまなものがあります。そうした情報をキュレーションメディアが集めることで、ユーザーは色々な意見に触れることができるのです。

特定のテーマに特化したキュレーションメディアとしては、美容や健康に関するもの、グルメに関するもの、旅行に関するものなどが挙げられますが、もともと関心を持つ人がたくさんいて、なおかつ、自分でも情報を発信する人が多いジャンルに向いています。また、芸能ニュースや大きな事件などを対象にして、話題になった短時間に集中してアクセスを狙うトレンド系や、就職や転職・仕事の悩みなど学生や社会人が避けては通れないビジネス系、妊娠や出産を扱うママ系なども、根強い分野となっています。

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キュレーションメディアの例

では実際に運営されているキュレーションメディアから代表的なものを3つご紹介いたしましょう。

グノシー

グノシーは、自分の関心に合わせてカスタマイズされた情報を見ることができるキュレーションメディアです。集めるジャンルは総合ですが、エンターテイメント性のあるものが多く、ニュースに特化した別サービスも並行して提供されています。グノシーでは、自分が実際に閲覧した情報の傾向が分析され、表示される対象に反映されます。パソコンで読むこともできますが、多くはスマートフォンのアプリで読まれています。それに合わせて、更新は1日に4回あるので、通勤の途中や昼休み、寝る前の時間帯に新しい情報をチェックできます。

NAVERまとめ

多くのキュレーションメディアは、運営側が情報をまとめて配信するのが一般的な方法ですが、ユーザー自身がキュレーターとなって情報をまとめて配信できるのがNAVERまとめです。引用元の記事や投稿のURLをコピペするだけでまとめが作成でき、見出しや画像の挿入も簡単にできます。さらに、まとめの作成者がアクセスに応じて報酬を受け取れることで、大きく利用が広まりました。記事が柔軟に作れることから、面白い画像や動画、名言、生活の知恵、芸能人の情報や、事件のてん末など、その内容は非常に多様なものになっています。

macaroni

macaroni(マカロニ)は、「食」に特化し、作るから食べるまで幅広い分野をカバーしているキュレーションメディアです。キュレーションと言いつつ、オリジナルのレシピ動画が毎日アップされるなど、自社制作によるコンテンツにも力を入れています。配信される記事は1日30以上あり、気になったものをクリップしておく機能もあります。その他、食に関するイベントや、ダイエットに関する情報、キッチングッズや調理器具など、扱う範囲は食の全般に広がっており、まさにテーマ特化型のキュレーションメディアと言えます。

キュレーションメディアの作り方

このようなキュレーションメディアは、ますます発信される情報の総量が増えていく中で、今後も強いニーズが見込まれます。そこで新しくキュレーションメディアを立ち上げる場合の作り方について見ていきましょう。

準備と制作について

キュレーションメディアは、大きく分けて、作るまでと、作った後の運用という2つの段階があります。まずは立ち上げるまでの段取りからです。

最初に行うことは参入する分野やテーマを決めることです。そもそもニーズがあるのかどうか、どのようなワードが多く検索で使われているかなどの調査を行います。この時点で想定するターゲット層も絞り込むことになりますが、それによってどのようなコンテンツが好まれるかも見えてくるでしょう。テーマに関連する記事や投稿がたくさんネットに投稿されているほど、収集もしやすくなります。

そして、似たテーマで運営されている競合が先にいるか確認し、そのコンテンツの中身や構成、収益の方法などを調査します。勝ち目がなさそうだったら、ターゲットや切り口を見直す必要があります。すでにその競合のユーザーを奪わなくては競争に負けてしまうので、勝つためのストロングポイントを作ることを考えましょう、

運用について

参入分野やテーマが決まれば、後はひたすらコンテンツを追加していく運用が始まります。キュレーションメディアにおいて頻繁な更新は欠かせない条件です。当然ですがひとりで365日対応できるものではありません。運営していくためにはスタッフが必要です。会社で運営するなら、毎日数十件以上の配信を続けることのできる体制作りが求められます。そのためには、専属のチームを作り、十分な資金も投入し、外部スタッフなども積極的に活用する必要があるでしょう。

そうしたスタッフの中でも重要なのが、効果測定をする人です。キュレーションメディアへのアクセスは、検索エンジンとSNSからの流入が大半を占めます。検索エンジンに対しては日々のSEO対策が欠かせません。また、SNSについては、自社でもアカウントを取得して運用するとともに、いかに拡散されるかが重要となります。タイトルや画像のクオリティひとつでも、その数字は大きく変わってしまいます。そうしたデータをリアルタイムに取得・分析してフィードバックしていくことで、メディアとしての改善が進み、それがアクセスや収益に大きく関わっていくでしょう。

キュレーションメディアの問題点

キュレーションメディアはその性格上、取り扱う情報の殆どが自前の取材や言論などの一次情報ではなく、すでに誰かが発信している二次情報となります。本来であれば、それらの出典を明記し、必要があれば、それに対する注釈や要約をつけて公開するのが原則となります。実際に語源となった本来のキュレーターの場合、展示品は集めますがその作者が自分であるとは言いませんし、ただ置くだけではなくその展示品に対する知識や背景を解説するパネルなどを作るでしょう。

しかし、インターネットのキュレーションメディアでは、他のサイトの情報をコピペして独自の記事に見せかけるなどの行為も横行しています。ここでは「情報の信頼性」、「著作権」という2つの側面で問題点を明らかにします。

情報の信頼性

キュレーションメディアに限らず、ネット媒体の場合、アクセスを増やすために一番手っ取り早い方法が記事の数を増やすことです。自社で記事を用意する場合はそれでも限界がありますが、すでにある情報をまとめれば良いキュレーションメディアでは、数を増やすことは容易にできます。しかし、その結果、正確性に欠ける情報まで集めてきたり、複数の意見があるのに特定の意見だけを集めてしまったりする行為が増えてしまいました。しかも、そうしたまとめが検索結果の上位に表示されることで、ユーザーに対して適正な情報が届かなくなるという状況を生んでしまったのです。その結果、正確性に欠ける情報を配信していたサイトが閉鎖に追い込まれる事態にもなりました。また、検索エンジンも対応に乗り出し、そうしたキュレーションメディアの評価を下げる検索アルゴリズムのアップデートもされています。

とは言え、依然として不確かな情報を好んで掲載していたり、明らかに特定の偏りがある情報を集めていたりするキュレーションメディアはたくさんあります。キュレーションメディアを利用するときは、ユーザーの側にも真偽を見抜くリテラシーが求められるでしょう。

著作権

正確性に加えて問題視されるのが著作権への侵害です。誤った情報をまとめに入れてしまうのも問題ですが、仮に正しい情報であっても、著作権に関する違反があってはなりません。

もっとも分かりやすいのは「無断転載」です。これは、他の人が作った記事や画像などを勝手にコピーして使うことを言います。情報をまとめて配信するというキュレーションメディアの性格上、この問題とは切っても切れない関係となります。特にグレーゾーンとなるのが引用についての対応です。一般的に、他の人が書いた記事や投稿の一部を自分のサイトで紹介するのは「引用」として許容がされています。ただし、その範囲が原文に対して一定の比率を超えたり、引用だけで記事が構成されていたりする場合は問題視されます。引用を行う場合は、引用した部分が分かるようにカギカッコなどを使い、その近くに引用元を明記します。そのうえで、コピペするのは原文の一部とし、なおかつそれに対する解説や意見をつけたり本文の補足として使ったりするなどして、あくまで「主」は本文、引用は「従」という構成にする必要があります。

さらに配慮が必要なのが、画像の扱いです。引用として処理ができるテキストとは異なり、画像については権利の侵害の判断が白か黒しかありません。最近では画像の無断利用に対して個人が企業を訴えるケースも出てきています。写真やイラストを使う場合は、一般のサイトでの利用が認められているフリー素材を使うか、自分で発注するなどして調達する必要があります。