「インプレッション」の意味とは?増やす方法についても解説

インターネットは、もはや私たちの生活になくてはならない存在となり、企業はインターネットエコノミーの存在をもはや無視できない状態と言えます。マーケティングの世界においても同様で、インターネットは雑誌やテレビ同様、非常に重要な広告媒体と言えるでしょう。インターネット広告の費用対効果を上げるためには、随時、効果測定を行う必要があります。その効果を測る目印の1つが「インプレッション」です。

本稿では、このインプレッションについて解説したいと思います。

「インプレッション」の意味とは

「インプレッション」の意味とは

「印象」や「気持ち」を意味する英語「Impression」が語源のマーケティング用語で、「IMP」と略されることもあります。広くは、リスティング広告やDMP 広告などがディスプレイ上に表示された回数、すなわち、閲覧者が広告を目にした回数のことを指します。また、媒体がTwitterやFacebookなどのSNSの場合では、広告の表示のみではなく、一般的な投稿が表示された回数のことを指して使用されることもあります。

Webマーケティングにおいては、最終的な目標を設定し、日々施策を動かしていきます。そのファーストステップとして、閲覧者への露出を増やし、商品・サービスを広く認知させる必要があります。その点で、インプレッションの認識および計測は、とても重要な工程だといえるでしょう。

インプレッションと「PV」「リーチ」の違い

インプレッションと似た言葉で「PV」があります。PVとは「Page View(ページビュー)」の頭文字をとって作られた言葉で、特定のページがディスプレイ上に表示された回数のことを指します。以前は1ページにつき1広告がスタンダードだったため、インプレッション数=PV数となり、同義の言葉と捉えられていました。しかし、現在では1ページに複数の広告が載るようになったため、必ずしもインプレッション数=PV数とはなりません。

また、同様に同義として扱われがちな言葉に「リーチ(Reach)」があります。リーチとは、広告の到達率のことです。広告がディスプレイ上に表示されたユーザーの数を意味します。

どれもインターネット広告に使われる言葉なだけに混同される傾向が強いですが、厳密には異なります。間違えると、取り返しのつかない事態に陥ることも考えられますので、それぞれの意味の違いをしっかり理解して使い分けましょう。

インプレッション数がカウントされる仕組み

前述したとおり、インプレッションは広告がディスプレイ上に表示された回数のことです。そのため、1ページに複数の広告が載せられている場合は、「インプレッション数=PV×広告掲載数」という計算式で導くことができます。前項で取り返しのつかない事態に陥る可能性があると指摘しましたが、それはインプレッションとPV、リーチの違いをしっかり理解しておかないと、全く違った数値が導き出されることになるためです。これら3つの違いを念頭に置いて、例をあげてみましょう。

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Aさんがあるページを1日に6回見たとします。そのページには広告が1ヶ所だけ載っており、ローテーションでaの内容が1回、bの内容が2回、cの内容が3回ディスプレイ上に映し出されたとしましょう。この場合、広告a・b・cのインプレッション・PV・リーチの各数値は以下のとおりになります。

a:1インプレッション、6PV、1リーチ
b:2インプレッション、6PV、1リーチ
c:3インプレッション、6PV、1リーチ

ただし、媒体によって、1カウントと数えられるかどうかの定義が多少異なります。例えば、Facebookではユーザー側のタイムラインに広告全体が表示されてはじめてカウントされますが、Yahoo!では、ディスプレイ上に一部でも広告が表示された時点で1カウントと数えられます。このことを認識するだけで、さらに正確なインプレッションを把握できます。自社の広告を載せている媒体が、どのような方法でカウントを行っているか、前もって必ず確認しておくようにしましょう。

インプレッション数を計測する理由

自社の広告がどのくらいのユーザーに見られているか、その目印となるのがインプレッションです。Webマーケティングのあらゆる施策において、インプレッションはモニタリングすべき重要なものといえます。では、なぜ重要なのでしょうか。それは、「コンバージョンをより多く獲得するための基になる指標」だからです。

コンバージョンの成果を示す指標に、「コンバージョン率」があります。インプレッション数に対してどの程度コンバージョンを獲得しているかを示した数字で、「コンバージョン率(%)=コンバージョン数÷クリック数×100」で計算できます。この数値を上げるためには、出稿している広告を閲覧者の目に入れる必要があります。そのうえで、閲覧者をランディングページなどに誘導するために、リンクが張られた広告をクリックさせなければなりません。

そこでまた重要になるのがクリック率です。クリック率は「クリック率(%)=クリック数÷インプレッション数×100」で求められます。コンバージョン率やクリック率が高い=広告費用対効果が高いことを意味します。

インプレッション数が多ければ、それだけ販売チャンスは多くなるかもしれませんが、インプレッション数が多いこと=成果が高いとは言い切れません。例えば、広告100回分を閲覧者に見せるために、10万円のコストが必要だったとしても、すべてがコンバージョンにつながるわけではありません。

また、計算式から分かるように、クリック数が少なければ、クリック率は上がらないのです。このように、これら3つは密接に関わり合っています。目的を達成するためには、これらの要素を複合的に見る必要があるということです。

インプレッションをベースにした広告の課金方法もある

インターネット広告には「インプレッション課金型広告」とよばれる、インプレッション数に対して課金される広告もあります。広告単価の指標はCPM(Cost Per Mille)であらわされ、1,000インプレッションごとに課金されるシステムです。最近では、SNS広告の媒体やスマホアプリのインフィード媒体でも活用されることが多くなってきました。

インプレッション課金型広告は、インプレッション数を入札することになるため、インプレッション数やリーチ数を増やすことが第一目的である場合の広告施策において、非常に有効な手段になります。

ほかにも、インターネット広告の課金タイプには、インターネット広告に張られたリンクを閲覧者がクリックするごとに料金が発生する「クリック課金型広告」があります。サイトへの誘導が目的のインターネット広告の場合はクリック課金型広告が一般的に使用されますが、インプレッション数に対するクリック率が高ければ、インプレッション課金型広告に変更することで、クリック課金型広告よりもクリック単価が下がり、低いコストで高い効果を得ることができます。

このように課金方法を変えることでコストが下がる場合もあるので、インターネット広告を出稿する際は、インプレッションに注目しながら、より適切な方法を選びましょう。

インプレッションを増やす方法

最後に、インプレッションを増やすための基本的な改善施策についてご説明します。正しく運用することで着実な効果が期待できますので、実践してみてください。

キーワードの入札単価を引き上げる

Googleのリスティング広告では、各キーワードの入札価格によって表示順位が変動します。詳しい入札単価とキーワードの順位はGoogle AdWordsで確認することができるので、一度チェックしてみましょう。Google AdWordsでキーワードの適正価格の見当がついたら、適正価格まで入札単価を調整します。しかし、入札金額が高くなりすぎると、クリック率との兼ね合いで、クリック単価が大きくなってしまう恐れもあるので注意しましょう。各キーワードのクリック率の変動を細かくモニタリングしながら、適切な入札金額を用いることが必要です。

また、最終的なコンバージョン率を高めるために、常に「ターゲットはそのキーワードで検索をするのか?」ということを考慮しながら、キーワードの調整をするようにしましょう。インプレッションやクリック数が増えると喜びたくなるところですが、最終的にはコンバージョン獲得につながらなければ意味がありません。獲得したいターゲットの検索ニーズを探ることを意識して行いましょう。

広告の予算を増やす

Google広告のインプレッションを増やすために、課金している広告の予算額を増やすというのも1つの方法です。リスティング広告やディスプレイ広告では、1日の予算額に制限がかけられているケースがあります。1日の上限を超えて広告が表示されてしまうと、表示が停止され、ユーザー側に提供されなくなります。獲得できたであろう顕在・潜在ユーザーを獲り損ねてしまい、チャンスロスにつながります。

もし、1日の予算額の上限を設定しており、頻繁に上限に達することがデータから明らかであるならば、予算の上限金額を引き上げることを考えてみましょう。もちろん、全体の広告予算から予算枠を超えない範囲で運用しているため、意図的に上限を設定している場合などは別です。リスティング広告だけでなく、全体のマーケティングプロモーションおよび予算との兼ね合いを見ながら、予算上限の設定を調整しましょう。

競合が少ないキーワードを入札する

Googleのリスティング広告はキーワードごとの入札方式であるため、同業他社の入札が殺到している人気キーワードは、当然、入札価格が高くなります。そのため、入札単価の高いキーワードをほどほどの入札価格で課金して低い掲載順位を得るよりも、新たに競合の少ないキーワードを探して入札するほうがコストパフォーマンスはよいでしょう。

競合の少ないキーワードは、入札希望者が少ない場合がほとんどなので、少ない金額で広告を上位表示させることができるうえ、浮いた予算で、再度別のキーワードを入札することもできます。それにより、多くのインプレッションを稼ぐことができ、クリック数・コンバージョンの獲得につなげることが可能になるのです。

ただし、競合が少ないということは、それだけ検索ボリュームが少ないか、多くの競合にとってネガティブなキーワードであることを意味している可能性があります。「そのキーワードで検索するユーザーはどんな人か?」を意識しつつ、あくまでコンバージョンで獲得したいターゲットが検索するであろうキーワードを入札するよう心がけましょう。

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