企業における成功するSNSの活用法と事例について

SNSはインターネットの世界で、確固たる地位を築いています。一方でビジネス、特にデジタルマーケティングの分野では必ずしも有効なものとはなっていないという声が多いのも事実でしょう。実際に「企業の公式アカウントは不要ではないか?」「たくさんバズっても売上はあがらなかった」という声をよく聞きます。しかし一方で、SNSで成果をあげている企業も存在します。この記事では効果的なSNS運用と、好事例を紹介していきます。

企業のSNS利用状況に関する調査結果

企業のSNS利用状況に関する調査結果

まずは特定のSNSになりますが、Twitter企業公式アカウントの利用実態に関する調査が2019年6月に発表されています。

Twitter企業公式アカウントの利用実態に関する調査

「Twitterで企業公式アカウントをフォローしていますか」という問いに対して、55.7%の人が「フォローしている」と回答。これはかなり多いという印象ではないでしょうか。

理由としてこの調査の中にもあるのですが、Twitterを使ったキャンペーンが数多く実施されていることがあげられます。キャンペーンをきかっけにフォローしていることが大きな原因と言えそうです。

もう一点、以下は「SNSで見たことをきっかけに企業の商品やサービスを購入したことがありますか」という問いに対する回答です。

SNSで見たことをきっかけに企業の商品やサービスを購入したことがありますか

「菓子」「外食チェーン」「ドリンク類」「スーパーで買える食料品」などが多めです。この結果は、ほとんどの方が頷くものではないでしょうか。

このデータから「Twitterで企業アカウントのフォローは多く」「Twitterの情報をきかっけに購買に結びつくケースも多い」「商材によって特に強いものがある」という感じでしょう。

出典:Twitter企業アカウント利用に関する意識調査(アライドアーキテクツ株式会社)

 

また、SNSの全体的な調査結果としては、総務省が出しています。

「ソーシャルメディアサービスの活用状況(企業)」として、企業全体と業界ごとの利用状況がわかります。平成29年と30年の比較で見ると全体で約8%の伸びがあり、今もSNS自体の利用は増加傾向というのがつかめます。やはりBtoCが多めというのがわかりますが、特に不動産は60%近くあるのが注目です。

ソーシャルメディアサービスの活用状況(企業)

「ソーシャルメディアサービスの活用目的・用途(企業)」としては、当然ながら宣伝、定期的な情報の提供が上位です。しかし平成29年より両方とも落ちています。逆に伸びているのは会社案内、人材募集です。考察で総務省もこの部分をあげています。

ソーシャルメディアサービスの活用目的・用途(企業)

出典:平成30年通信利用動向調査ポイント(総務省)

各種SNSの利用実態状況について

ソーシャルメディアの利用率、人数については、「ガイアックスソーシャルメディアラボ」が定期的に統計データを発表してくれています。

このデータが良いのは、年代と性別で分けて出してくれていることです。

主要なSNSの2019年6月分を簡単に紹介しましょう。

リードジェネレーションのための重要なテクニック30選
バイヤーペルソナテンプレート

Facebook

30代と50代の利用率がもっとも高い。10代(15歳以上)の落ち込みが特に目立つ。

Instagram

20代、30代、40代で特に高め。この年代では女性比率も高い。

Twitter

10代の利用率が極めて高く、10代と30代は女性の比率が高め。

 

実際の利用者数でいくと人数の多い40代がTwitterの利用数はもっとも多く、Instagramも20代から40代の利用人数は多いというデータになっています。

一般的な評価ではFacebookとTwitterは利用者数が横ばい、Instagramは右肩上がりで増えているといわれます。この調査データも基本的にはこれに合っていますが、SNSで何らかの施策をおこなう場合には、それぞれの利用状況や特性を把握するのは必須です。

利用状況は常に変化しますので、最新のデータを確認するように心がけましょう。なおここでは紹介していないLINEに関するデータも、ガイアックスソーシャルメディアラボのページには掲載されています。

出典:2019年6月更新!11のソーシャルメディア最新動向データまとめ(ガイアックスソーシャルメディアラボ)

企業における成功するSNSの活用法について

現在の各SNSの利用実態を把握したうえで、企業が取り組むためのポイントをいくつか紹介していきましょう。

感情にうったえかける

最近SNSに関して調べている中でもっとも印象に残ったのが、「感情にうったえかけるものがシェアされやすい」ということです。

これはシェアに関する調査や、SNSの専門家が共通して口にしていたことです。淡々とした情報を伝えるのではなく、感情に響かないとSNSでの拡散は見込めないようです。

この感情にうったえるという内容ですが、ポジティブな「幸せ」「驚き」「賛辞」というものが特にシェアされやすいようです。企業からSNSで拡散して欲しい情報を発信する際には、ポジティブな感情にうったえる、ということを特に意識してみるといいかもしれません。

アピールの場ではないことを認識する

以前からいわれていることですが、SNSは企業が宣伝をおこなう場所ではありません。また企業もSNS内では特別な存在ではありません。

ただしあくまでも企業ですから、一般と同じような内容を投稿してしまうと炎上してしまうリスクもあります。企業という立場を考えつつ、場を荒らしたり雰囲気を壊さない投稿を心掛けていきましょう。

SNSを利用する目的をハッキリさせる。

SNSをマーケティングや販促に使っている企業から、「成果が出ない」「役に立っているのかわからない」という声が聞かれます。こうした企業に「どういった目的でSNSを始めたのですか」と聞くと、「集客できると思った」「売上があがると考えた」「他社がやっていたから」などの漠然とした答えがかえってきます。

SNSを企業活動のどの部分に位置づけ、何を目的にするかは最初に決めるべきことです。運用をしていくうちに目的が変わることもありますが、ただ漠然と始めるだけでは、それさえも気づかないでしょう。

バズ、シェアされたい場合は広告を

SNSでバズを、という声はよく聞かれます。企業発信の投稿が拡散される場合には、ほとんど広告を使って発信されています。ほとんどのバズっている投稿は一般からのもので、企業が発信したものはほとんどありません。

拡散されるプロセスは「広告を使って多くの人にリーチする→一部の人がシェアしていく」というものです。

Facebookではタイムラインに企業発信の情報は入りにくくなっているなど、メディア側でも制限をかけるようになっています。

実際のSNS運用では、「画像を使う」「興味をひく言葉を使う」などの細かなテクニックはあります。ここで紹介した4つは、本質的な事柄です。実際に運用をおこないながらトライアンドエラーを繰り返しながら、さまざまなノウハウを身に着けていくといいでしょう。

SNS成功事例

いくつかの企業の、SNSの事例を紹介していきたいと思います。

ANA旅のつぶやき【公式】

ANA旅のつぶやき【公式】

https://twitter.com/ANA_travel_info?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

ANAの公式Twitter「ANA旅のつぶやき【公式】」はキャンペーン、スポンサードしているスポーツの話題、ツアーの情報、そして飛行機の写真などバランスよく、さまざまな話題を投稿しています。

飛行機の美しい写真にも目がいきますが、ウィットにとんだ動画もユニークです。フォロワー数が多いのも頷けるアカウントといえるでしょう。

Loccitane

Loccitane

https://www.instagram.com/loccitane_jp/feed/?hl=ja

loccitanの投稿や広告画像はいずれも美しく、出てくるのをむしろ心待ちにするほどです。商品だけでなく美しい街並みなどの画像も多く使われ、Instagramというメディアの特性を存分に生かしているといえるでしょう。

東京カンテイマンションライブラリ

東京カンテイマンションライブラリ

https://www.facebook.com/tokyokantei.mansionlibrary/?ref=br_rs

最初の調査データで不動産業のSNS利用が多いということだったことから、Facebookではマンション専門情報サイトのものを紹介します。

物件情報だけでなく、地域情報をいろいろ発信しているので飽きずに、フォローをする価値を感じるアカウントです。

第ニの就活(20代の第二新卒・既卒・フリーター向け就職/転職サイト)

第ニの就活(20代の第二新卒・既卒・フリーター向け就職/転職サイト)

https://daini2.co.jp/

最後はSNSへの取り組みがうまいWebサイトを。

右上に各種SNSのアイコンが掲載されていますが、いずれも充実の内容です。

「就職、転職サイトのインスタでどんな投稿を!?」と思った際の答えが見つかります。

SNSをどう活用していけばいいのかというヒントも盛りだくさんです。

まとめ

事例を探しながら気分が明るくなるSNSだと、自分も楽しくなって紹介したくなってきます。これは拡散の大きな原動力となる「感情にうったえかける」というのと共通する気持ちでしょう。

SNSの細かなテクニックもいろいろ出てきてはいますが、今回紹介した4つのポイントを最低限押さえつつ、まずはトライアンドエラーで運用を始めてみましょう。

その際には自社のアカウントだけでなく、一般ユーザーの目線でさまざまなアカウントにふれてみて、「シェアしたい」という気持ちになるものにヒントがあるはずです。自身も企業という枠におさまらず、ソーシャルの世界の一員となって運用してみてください。