【イベントレポート】アドテック東京2018に見た、デジタルマーケティングのトレンド

 2018.11.10  LeadPlus

2018年10月4日と5日、「アドテック東京2018」が開催されました。アドテックは世界の主要都市で開催されるデジタルマーケティングの総合イベントで、有料と無料の豊富なセッション、国内外の注目ツールが多く出展されています。

その中のごく一部の内容についてではありますが、レポートしていきたいと思います。

セッションレポート

アドテックの中では、複数のセッションがおこなわれています。私が実際に聴講したのは「AppLovin (アップラビン)」が開催した複数セッションの一つ「変革中!日本のタクシー業界をJapanTaxi が語る20分間」です。

AppLovinはアメリカのアプリ向け広告プラットフォーム企業で数年前に日本法人を設立、拡大中ということでアドテックでも多彩なプログラムを用意していました。デジタルマーケティングというとWebのなかだけをイメージする人もまだまだ多いですが、実際はオンラインとオフラインを超えたマーケティング活動全般を指すと改めて認識しました。

その意味でもタクシーというリアルなサービスに関するセッションは注目でした。

タクシーとアプリといえば、Uber(ウーバー)やGrabがよく知られるところです。

Uberは一言でいってしまえば配車アプリ、つまり車をアプリから予約できるサービスですが、車やドライバーの情報を事前に知ることができ、支払いも可能というデジタルならではの魅力が豊富にあります。さらにアメリカでは、「空飛ぶタクシー」のプロジェクトも具体的に進んでいるといいます。

このあたりはオンラインとオフラインの境界をなかなか超えられない日本との大きな違いかもしれません。

さてAppLovinでおこなわれたセッションはUberについてではなく、「JapanTaxi」というアプリについてでした。こちらは名前のとおり日本のタクシー配車アプリ、日本国内で開発、運営されるサービスです。

タクシーの予約だけでなく、決済機能も持っているとのこと。他にも広告などがビジネスモデルに組み込まれているようです。

タクシーというと最近は、「東京でAIを使った無人タクシーの実験が始まった」というニュースが大きく出ました。これは無人タクシーという、まさにリアルの世界を大きく変えるものです。

六本木から大手町という東京の中心部を使った実験ということで、全国的にも話題になりました。ただしこちらは近いうちに無人タクシーが本格導入されるというのではなく、PRの側面が強いのではないかという話がよく聞かれます。

実際に自動車の運転というとAI技術うんぬん以前に法整備の問題があり、タクシーというサービス業ですぐに実現できるとは思えない部分もあります。

JapanTaxiのセッションで出たAI関連の内容は、無人運転よりも遥かに実現の可能性が高いものでした。

それは「この時間、どこに行けばお客様がいるか」の情報を、AIを使ってドライバーに提供していくというものです。タクシーの乗務員は運転技術はもとより、どこを走っていればお客様と出会えるかという経験が必要です。そこで新人とベテラン、稼げる人と稼げない人とで差が出てきます。

AIを使ってお客様を乗せやすい場所の情報が出ることで、新人であってもベテランのような走りができるようになるといいます。すでにベータ版としての提供は開始されているようですし、実績があがればAIのビジネス活用の良い事例になるでしょう。

BtoBマーケティングお役立ち資料

セッションで気になった他のポイントを、いくつかピックアップしてみましょう。

  • データはBigQueryに集約
  • Tableauで可視化し、それをSlackで共有
  • KPIは配車数。それに至るサブのKPIを複数設定
  • オフライン広告も始めている
  • 離脱が多いのは、(クレジットカードの)登録部分

これらを聞いて感じることは、「オンラインでのマーケティングとほとんど同じ」ということです。

またBigQueryにはすべてのデータを集客させているということでリアルと連動したビジネスでもデータが重要であるということが改めて認識できました。

なおこのセッションはKaizen Platformとの対談形式でしたが、アプリを体験してそのままがインストールできる「プレイアブル広告」というものをJapanTaxiと共同で開発しているとのことでした。ABテストの会社という印象だったKaizen Platformですが、現在は広告事業にも参入しているのですね。

株式会社KPIソリューションズのステージでおこなわれた「飲食業界の実店舗を通した『withデジタル』のユーザーコミュニケーション」というセッション。こちらも外食という、リアルビジネスを軸にしたものでした。

パネラーは「日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社」「日本ピザハット株式会社」「株式会社はなまる(はなまるうどん)」「株式会社トリドールホールディングス(丸亀製麺)」の四社。外食というくくりでは競合、またその中にうどんが2ブランドが入るという興味深い顔合わせでした。

このセッションで印象に残ったのが、SNSの活用でした。

先ほど「競合ともいえる」と書いたのには理由があって、SNSの話題の中で「呼びかけでコラボ企画や一緒に参加しての取り組みが生まれた」という話があったからです。

過去に有名なものだとシャープとタニタのSNSコラボが話題になりましたが、さまざまな所でこうした「繋がる」現象が起こっているようです。

SNSのビジネス利用でよく見られるのが「定型の発信しかしない」「フォロワー数だけを気にする」など、通常のメディアと同じ価値観での動きです。そしてこうした取組みはほぼ「SNSは失敗」という評価になっていきます(あるいはなぜやっているかが解らない状態におちいります)。

SNSはさまざまな交流が生まれる場所です。それがエンドユーザーや他企業、さらには同じ業界であっても繋がっていくということを認識して取り組んでいきたいものです。

もう一つSNS関連として、Twitterブースのセッションに興味深い内容がありました。

TwitterやFacebook、Instagramのユーザー分析をおこなったマップが示されたのですが、特性がいろいろ分かれていて、納得できる部分が多くありました。よくSNSというと一括りにされたり、広告出稿でも決め打ちで「Facebook広告をお願いします」といった要望が出されます。

しかし訴求したい商品やサービス、内容により使うべきSNSは変わってきます。「若い層はTwitter、そうでなければFacebook」程度の認識はあるでしょうが、それ以外にもユーザーの特性を理解して、SNS運用や広告に取組んでいきたいものです。

注目ツール

次は出展していたツールの中から、気になったものをピックアップしていきたいと思います。データを一か所に集約するためにDMPといった言葉が広がりました。

ただしDMPという言葉がアドテク、つまり広告の技術という認識で広がってしまったため「DMPは広告で使用するデータを集約する場所」と考えられているようです。

それもあり「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」という言葉が使われるようになってきました。これを推進するのがトレジャーデータですが、アドテックには株式会社EVERRISEの「INTEGRAL-CORE(インテグラルコア)」というCDPが出展されていました。

先をいくトレジャーデータよりブランド力、標準で連携できるツール群は劣りますが、そのぶん価格は大きく抑えられています。今後連携できるツールは増えていくということですから、価格面がCDP導入のネックになっているなら、問合せをしてみると良さそうです。

INTEGRAL-CORE(インテグラルコア)

INTEGRAL-COREと標準ですでに連携できる一つがBIツール「Yellowfin(イエローフィン)」です。BIツールといえばTableauが突出しておりDOMOが追撃というイメージですが、YellowfinもグローバルなBIツールで、すでに日本法人と数多くの国内実績があります。

またTableauと完全に機能が一致するものではありません。Tableauは大まかにいうとアナリストを必要とするツールです。一方のYellowfinはアナリストいらず、データを活用したいビジネスユーザー全般が共同で使えるというのが大きな魅力です。

これがなぜ可能かというとYellowfinがデータの変化だけでなく「なぜその変化が起きたのか」、つまり「原因」までを示してくれるツールだからです。操作は簡単で、知りたいデータの箇所をクリックするだけです。それにより自動で解析が始まります。

ライセンス費用は決して安価とは言えませんが、環境を整え専任のアナリストを置くことを考えればTableauよりもコストパフォーマンスは高いとのことでした。

気になるのは「原因を示す」という部分の精度なので、事前に実績をよく確認したり、評価版で実際に試してみることが必要でしょう。なおデータのビジュアライゼーションの部分については個人的にはわかりやすいと感じました。

Yellowfin

もう一つ紹介したいツールが、「Repro(リプロ)」です。これはネイティブアプリのアナリティクス(分析)とマーケティング(施策)が一体になったツールです。

たとえばユーザーの行動を見て、タイミングに合わせてアナリティクス画面からプッシュ通知が設定できます。データを見ながら直感的な操作できるのが、大きな魅力に感じました。なおWebにも対応した「ReproWeb」という商品も提供を開始したようです。

Repro

まとめ

アドテックの展示で目立ったのは予想通り「データ」でした。データに関してはCDPやBigQueryなどの蓄積、BIツールによるビジュアル化と分析、それにマーケティングオートメーションや接客ツール、チャットボットを使った施策です。

これらが特別なことではなく、当たり前のこととして各ツールの機能や特徴に入ってきているのが印象的でした。

なお広告分野については、データをもとにした「自動化」が大きなキーワードとなっていました。分析や広告の最適化を、ツールにより一気通貫でできる部分が多くなっています。今後はますますこれが発展し、広告のPDCAの大部分に人が介在する必要はなくなるでしょう。

広告運用を中心にしていたマーケターや企業は、この変化にどれだけ対応できるかが鍵になりそうです。

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