経営者が知っておきたい「人工知能」とは?マーケティングやビッグデータとの関係も解説

 2018.02.23  LeadPlus

インターネットや新聞、テレビなどで「人工知能(AI)」という言葉を目や耳にしない日はないと言って良いほど盛り上がりを見せています。

 「囲碁AIが世界最強棋士を圧倒」「猫を認識するAI」「スーパーマリオ64をAIがプレー」「AIが津軽弁を標準語に変換」「養豚場にAIを導入して豚の幸福度を測定」「AI自動運転」などなど、ここ最近のニュースを見ても人工知能(AI)が盛り上がっていることはわかります。

 そのようななか、企業からは人工知能(AI)を標榜する製品やサービスの発表も相次いで行われており、遅れをとってはいけないと早期に人工知能(AI)を導入して何らかの実績づくりをしたいと考えている方も多いのではないでしょうか?

あなたは「人工知能(AI)」と聞いて何を思い浮かべますか? 

私の場合、人工知能と聞くと映画「ターミネーター」や「アイロボット」といった、人工知能が人間を凌駕し人類を脅かすような世界を想像してしまいます。

 SF映画に登場する心を持ったロボットか、はたまたディープラーニングなどの技術を使った機械学習ロボットか。しかし、最近では後者のような人工知能を思い浮かべることが多いかもしれません。

 今回は、そんな人工知能について経営者が知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。また、マーケティングの世界でも人工知能を活用した取り組みが行われ始めているため、マーケティングと人工知能の関わりについてもご紹介します。

改めて知る、人口知能とは?

 人工知能学会では人工知能の定義について次のように紹介しています。

「知的な機械,特に,知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術です。人の知能を理解するためにコンピュータを使うことと関係がありますが,自然界の生物が行っている知的手段だけに研究対象を限定することはありません。」

引用:人工知能学会「人工知能のFAQ

これは、米国の計算機科学者かつ認知科学者であるジョン・マッカーシーという人物が人工知能(AI)に関する解説をFAQ形式でとりまとめた「What is Artificial Intelligence(人口知能とは何か)」を翻訳したものです。

この解説によれば、人工知能とは人間の知的部分を疑似するようなコンピュータプログラムを開発する技術となります。ただし、実際の人間のように振舞う人工知能を開発するだけでなく、知的に解決しなければならない問題へ取り組むための研究分野も存在し、むしろ技術的進歩を遂げているのは後者です。

「2045年問題」では人工知能が人間の知能を上回り、こらまで人間の生活が一変するのではないかという心配もありますが、人工知能が人間を超えたからといって機械に支配される世界になるわけではありません。

「生活が一変する心配」というのは、これまで人間が行ってきた仕事や作業の大部分を人工知能が担って、人間の雇用が少なくなってしまうのではないかなどです。

しかし、現時点で、人工知能によって雇用が無くなるといった事例はありませんし、反対に、人工知能を活用することで人間はより創造的な仕事に取り組めるため、生産性が上がったという事例がいくつもあります。 

人工知能2つの領域

そして、人工知能の研究には2つの領域があり、一つは人間が持つ知能そのものを機械的に作りだそうというものです。先に登場した「ターミネーター」などがこれに該当します。

そしてもう一つは、人間が知能を持って行うことを機械でもできるようにしようという研究です。現在、行われてる人工知能の研究のほとんどがこれに該当します。

つまり、今注目されている人工知能は後者の方であり、決して人間を機械的に作りだそうという研究ではありません。 

人工知能の機能

人工知能はどのように機能しているのか?ここで簡単に解説しておきます。

人工知能は主に“推論”と“学習”という2つの機能を持ち合わせています。

推論…知識をもとに新たな結論を導き出すこと

ボードゲームの「オセロ」をもとにして考えてみましょう。

人工知能にはまず「自分のコマで相手のコマを挟んだら、挟まれているコマを自分の色にできる」という知識や、「最終的にコマが多い方が勝ち」などといった基本的な知識をインプットします。

ゲームが開始し、人工知能はインプットされた知識から相手のコマを挟み、自分の色へと変えます。

しかし次の相手の手で、たくさんの自分のコマを取られてしまいました。 

そこで新たに「相手は自分のコマをたくさん取れる場所にコマを置く」という知識をインプットします。

すると人工知能は「次の相手の番、自分のコマを少ししか取れない場所にコマを置く」といった、複数の知識をもとにした結論を導き出すのです。

このように、1~10を全てインプットしなくても複数の知識をもとに推論を展開できるのが人工知能です。 

学習…複数のデータから有用な情報を導き出す

こちらはアイスクリームショップをもとに考えてみましょう。

BtoBマーケティングお役立ち資料

人工知能が搭載されたPOSレジがあるとして、1人目のお客様がチョコレートとバニラのダブルコーンを注文しました。

このデータは当然レジにインプットされていきますが、これだけでは有用な情報を導き出すことができません。

次に2人目のお客様がストロベリーのシングルコーンを注文しました。そして以下のように5人目まで続きます。

3人目:チョコレートとバニラとチョコミントのトリプルコーン

4人目:チョコレートとストロベリーのダブルコーン

5人目:バニラとストロベリーのダブルコーン

これらのデータがインプットされた人工知能では、「ダブルもしくはトリプルを購入する人は、チョコレートを注文する確率が高い」という有用な情報を導き出すことができます。

そしてこの情報から「ダブルを注文するとチョコレートを一つ追加キャンペーン」などを展開すれば、販促に繋げることが可能です。

ちなみにAmazonといったネットショッピングにおけるレコメンド機能で、この“学習”が活用されています。

このように人工知能には、基本的に“推論”と“学習”という2つの機能が搭載されており、両者を組み合わせることで様々なことを実現しています。  

人工知能の種類

人工知能にはその学習方法によって「教師あり学習」「教師なし学習」それと「強化学習」と大別されています。

教師あり学習

人工知能に取り込むデータの一つ一つに「答え(タグ)」を付けて、その特徴を学習させる方法です。たとえば犬の画像に「これは犬だ」という答えを付け、大量のデータを取り込ませることで人工知能は犬の特徴を段々とつかんでいきます。最終的には、答えが付いていない犬の動画を取り込んで、「これは犬だ」と認識します。主に画像認識や音声認識といった分野で活用されています。

教師なし学習

反対に、答えのないデータを大量に読み込ませてその中から特徴を自ら見つけさせるのが教師なし学習です。データとデータのつながりを見つけたり、その中から発生予測を行えるのがこの学習方法です。

強化学習

強化学習は多くのテクノロジー会社が、今最も力を入れている分野です。答えがまったく無い状態から報酬だけを設定して、その報酬に向かって正解となる行動を導き出します。

たとえばコンピュータチェスなどの分野では、「対局での勝利」という報酬と無数の打ち手を取り込ませることで、次第に勝てる打ち方を学んでいきます。このように、人工知能自らに法則を見つけさせて、設定した報酬に対して正解を導き出していくのが強化学習です。 

4段階に分けられている人工知能のフェーズ

現在世界に存在する人工知能は、その成熟度によって以下の4段階で分類されています。 

フェーズ1:簡単な制御プログラム

近年、冷蔵庫やエアコンに人工知能を搭載した「スマート家電」を市場で見かけることが多くなりました。エアコンで言えば室温、湿気、エネルギー消費量などのデータを収集し自動運転を行うといったものです。 

しかし実はこれ、人工知能というよりはシステム工学などの分野であり、マーケティング的に人工知能と呼んでいるに過ぎません。 

フェーズ2:スタンダードな人工知能

先に紹介した“推論”と“学習”を基本的に備えているのがこの人工知能であり、大量のデータベースを所持していることから、時に人間を超える振る舞いをするものが存在します。

代表的なのがコンピュータチェス(コンピュータが指すチェス)であり、IBMが人工知能を搭載した開発した「Deep Blue(ディープブルー)」は、2007年にチェス世界王者から白星を獲得しています。 

フェーズ3:機械学習を搭載した人工知能

まずこの代表例を挙げると、GoogleやYahoo!などの検索エンジンが該当します。

サンプルデータをもとに学習していき、ルールや知識を独自につける人工知能です。

検索エンジンではアルゴリズムをもとにコンテンツの評価を行い「良いコンテンツ」を検索結果上位に、そして「悪いコンテンツ」の順位を下げていきます。

フェーズ4:ディープラーニングを搭載した人工知能

人間がりんごを目にして「これはりんごだ」と認識するのは当たり前にことですが、従来の人工知能には不可能な領域でした。

これまではりんごの色や形といったメタデータを人間がインプットしなければならなかったのです。 

しかしディープラーニングでは、例えば大量のりんごの画像を読み込ませることによって機械が徐々にりんごを認識していきます。

「りんごは赤い」「りんごは丸い」といった知識を次第に付けていくのです。

ちなみに、近年最も注目されている人工知能はこのディープラーニングを搭載したものであり、主に音声認識や画像認識といった分野で活用されています。

データがないと人工知能は成り立たない?ビッグデータと人工知能の関連性

人工知能と同様にビッグデータをいうフレーズも良く耳にすることはありますよね?

この人工知能とビッグデータは切っても切り離せない関係性を秘めています。

上述した通り人工知能はデータありきであり、 “ビッグデータ解析のため、人工知能を用いることに徐々に期待が高まっているから”です。

ビッグデータはその名の通り、膨大かつ高頻度で更新されているデータ群を指します。

これまでのビッグデータ解析では人が解析ツールを用いて、抽出・加工・分析・レポートすることが当たり前でした。このうち解析ツールが担っている領域は抽出~レポートまでです。

つまり、ビッグデータを最終的に有用な情報へと変換するためには、人の知能がなければ成しえなかったのです。しかし近年になり、この環境に変化が起きつつあります。

先に紹介したディープラーニングの登場で、徐々に知識を蓄積し学習し、自ら意思決定を下す人工知能が増加しています。

センサーなどから取得したデータを取り込み蓄積し、データを構造化した上で最適な次の戦略を導き出す人工知能が既に登場しています。もちろん、未だ人間の知能のように柔軟性があるわけではなく、実用的になるのはもう少し未来の話です。

また、IoTというもう一つにキーワードもビッグデータと人工知能に深く結びついています。

IoT(Internet of Things)とは“モノのインターネット”と言われ、全てのモノをインターネットに接続し、生活の利便性を高めていこうという概念及び技術です。

IoTで重要なのは、センサーから取得した膨大なデータ(ビッグデータ)を瞬時に処理し、ユーザーやシステムに最適なフィードバックを返すことです。

例えば工場で動作する機械にセンサーを取り付けて、その機械の温度や振動などのデータをリアルタイムで収集して、人工知能が故障を事前に察知するなどの流れになります。

つまり、IoTがビッグデータを生み出し、ビッグデータから人工知能で目的を達成するということが考えられるわけです。

 そのような意味で人工知能を活かすためにはデータが必要ということなのです。

人口知能とデジタルマーケティング

デジタルマーケティングといえば、WEBサイトやSNSなどを活用した施策を人間が考え、それに沿って集客や販売促進を行うものです。そうした施策や展開を人工知能が担ってくれるのかと言えば、そうではありません。 

人工知能はデジタルマーケティングにおいて人間では実現困難な大規模な定型作業という重大な部分を担ってくれます。数多くの取り組みが進むマーケティングの人工知能活用ですが、簡単に事例をご紹介します。

パーソナライズを自動化

たとえばとある大手紳士服メーカーでは、新しいスーツブランドの認知拡大として人工知能を活用しています。

その内容は、同社会員に送付するDMに人工知能がパーソナライズしたコーディネートを掲載するというものです。同社の購入履歴をもとに人工知能がDM掲載アイテムを選定し、それを特定の会員に送付します。それと同時に、別の会員群には従来通りのDMを送付したところ、人工知能を使ったDMは従来通りにDMに比べて来店率が12%~15%高かったそうです。

この人工知能が行った「会員ごとにパーソナライズされたコーディネート」という作業を人間が行うとしたら、膨大な時間が必要です。ましてや数万人の会員にDMを送付するとなれば、非現実的と言わざるを得ません。

しかし、人工知能なら可能です。購入履歴やオンラインショップでの閲覧データをもとに、会員の嗜好を学習すれば、会員ごとに気に入るであろうコーディネートを提案できます。もちろん、それが100%正解とは限りません。しかし結果として、12%~15%の来店率アップにつながっているため、人工知能によるデジタルマーケティング効果は高いと考えてよいでしょう。

マーケティングオートメーションに搭載される人工知能

 また、マーケティングオートメーションツールなどにも人工知能が搭載され始めています。マーケティングオートメーションを導入している企業では、訪問者のホット度合いを確認するために行動などに対してスコアリングを行います。

 このスコアリングは、最初は経験と勘で決定する場合が多く、その後、購買したユーザーの軌跡を辿りながらなるべく正確なスコアリングをするように調整していきます。要するにマーケティング担当者に依存する手作業であったわけです。

 例えば、弊社が提供しているHubSpotには、プレディクティブ リードスコアリングという機能があります。プレディクティブ(Predictive)とは、日本語にすると「予測」という意味であるとおり、スコアリングを学習して予測自動化している機能なのです。つまり、HubSpotが全部スコアリングをやってくれるので非常に便利になるわけです。 

人工知能をデジタルマーケティングへ活かすためには

人工知能を活用してデジタルマーケティングの効果を高めようと考えたとき、まず大切なのは「人工知能をどう活用するか」について検討を重ねることです。先述の通り、人間のように振舞う人工知能は存在しないため、人工知能で可能な作業はまだ限られています。将来的な技術進歩によって人工知能が担える作業は拡大していくでしょうが現時点では限定的なのが実情です。 

従って、人工知能には何ができるのか?を明確に理解した上で、適切な活用方法を検討することが先決です。もちろん、導入する人工知能によって可能な作業は異なるので、製品ごとの特徴を知ることも大切です。

「人工知能」という製品を導入せずとも、人工知能を活用する方法はあります。それは人工知能を搭載したサービスを導入することです。たとえば、ERPシステムを提供するMicrosoft Dyamics 365では、商品のレコメンデーション機能で人工知能を活用しています。

オンラインショップにてユーザーの閲覧情報や購入情報をもとに、ユーザーが気に入るであろう商品を紹介するという機能です。この機能を活用すれば、一種のWEB接客のようにユーザーごとにおすすめ商品を表示でき、購入率をアップできます。

まとめ:企業は人工知能をどのように受け入れるべきか

いかがでしょうか?今までの人工知能に対するイメージが払拭され「人工知能ってこんなものか」となんとなく理解して頂けたのではないかと思います。 

最近ではSoftbankの「Pepper(ペッパー)」などの登場で以前より人工知能がグッと身近な存在になっているのではないかと思います。ただ、こういったロボット型の人工知能の方が多くメディアに取り上げられているので、冒頭で紹介したのような「いずれ人類を凌駕するもの」というイメージが強いのも仕方のないことかもしれません。 

しかし企業が真に注目すべきは、大量のデータを取り込むことで情報の精度が増し、迅速な意思決定を下すことのできる人工知能です。このタイプこそが今のビジネスに変革を起こし、新たな風を吹きこむ存在だと言えます。

あなたは現在、ビジネスにどういった課題を持っていますか?

それはもしかすると、人工知能が解決できる課題かもしれません。ポイントは「人間では不可能な定型作業を自動化する」です。この機会に人工知能のビジネス活用をぜひご検討ください。

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