カスタマーライフサイクルステージを定義する

マーケティングファネルとTOFU,MOFU,BOFU施策のポイント」では、ファネルというステージに関しての施策ポイントに関してご紹介しました。実際のマーケティングを行う上で、もう少しユーザーの状態を体系化して管理する必要がでてきます。本記事では、これらユーザーの状態を体系化した「顧客ライフサイクルステージ」の考え方をご紹介します。

カスタマー(顧客)ライフサイクルステージが必要な理由

インバウンドマーケティングでは、興味を引きサイトに訪問してもらうところから始まります。その後、購買意欲を高めていくために「ユーザーを育成する」ことに注力します。つまり、「認知」してもらい「興味」を持ってもらい、「評価・検討」していただき、「購買」してもらいます。

その際に、それぞれの段階で最適なコンテンツを配置して提案を行い、ユーザーがなんらかのアクションを施した段階で、ユーザーに自社規定のタグ付けを行うことでユーザーを区別する「顧客ライフサイクルステージ」の設定が重要になってきます。つまりマーケッターは、グロースハッキングやドリップキャンペーンなど、顧客ライフサイクルステージに応じた施策を考えて、最適な提案を行うことでユーザーを次のステージへと移動させることを考える必要があるのです。

たとえば、IT業界などで散見される悪い例のサイトでは、ふらりとサイトに訪れたユーザーに対して、いきなり購入を施すような提案をしていたりします。資料をダウンロードしようとすると「何カ月以内に購入しますか?」「予算を確保していますか?」など、まだ製品やサービスに興味もない段階で聞くのはナンセンスではないでしょうか。

自社が規定した顧客の段階を「顧客ライフサイクルステージ」と言い、ユーザー情報を体系化します。それらを管理することを「顧客ライフサイクル管理」と呼びます。そして、マーケティング担当者は、この顧客ライフサイクルステージを少しでも上位へ変えていくためにコンバージョン最適化やオートメーションを設定していくことになります。

HubSpotまるわかり完全ガイド
成長を追求するWebサイト制作プロセス グロースドリブンデザイン入門

顧客ライフサイクルステージの例(HubSpot)

それでは、どのように顧客ライフサイクルステージを規定すれば良いのかをご紹介します。

一般的なマーケティングオートメーションソフトウェアでは、規定のライフサイクルステージが提供されるので参考になるでしょう。たとえば弊社でサービスを提供しているHubSpotの例では、デフォルトで以下の顧客ライフサイクルステージが提供されています。

  • Subscriber
  • Lead
  • Marketing Qualified Lead(MQL)
  • Sales Qualified Lead(SQL)
  • Opportunity
  • Customer
  • Evangelist
  • Other 

これらは、自社の戦略に基づいて全部活用することも可能ですし、一部を活用すること、また、カスタマイズしてコンタクトプロパティを定義することも可能です。リードプラスでは、ブログの購読など軽い情報のみの取得を目的としているSubscriberには、MQL向けコンテンツなどは送らないように設定しています。また、弊社のパートナーなどはEvangelistに設定しお客様向けの提案などは排除して技術的なコンテンツやパートナー向けの案内などを提供するようにしています。

それぞれのライフサイクルステージを詳しく見ていきましょう。

Subscriber(サブスクライバー)

あなたのことを認知し、定期的にあなたから連絡を受け取るために加わった人々をSubscriberとみなします。多くの場合、あなたのブログやニュースレターにただサインアップしただけのユーザーはSubscriberとみなします。Subscriberとの長期的な関係を育成し、次のステップへと導くコンテンツを提供していくことが重要です。

Lead(リード)

リードはSubscriberよりも、あなたの提案に対して興味を示している状態です。リードはフォームにEメールアドレスなど簡単な情報だけではなく、より多くの個人情報を記入する特徴があります。

参考記事:【マーケティング担当者必見】今さら聞けないリードの定義とは?

Marketing Qualified Lead(MQL)

一般的にMQLは、通常のリードよりもより深く関わっており、購入前段階のユーザーです。しかし、まだ十分に成熟したオポチュニティにはなっていません。理想的には、リードをMQLステージに移動させるプロモーションを始動させるためには、ある指定されたフォームのみを認めるべきでしょう。特に、デモのリクエストやハンズオントレーニングへの参加など販売活動の準備のためのオファーが有効になるでしょう。また、BDRチームいる場合には、電話をかけて状況を聞き出すのもこの段階であると言われています。

参考記事:マーケターの命とも呼べる「MQL」とは?

Sales Qualified Lead(SQL)

一般的にSQLは、営業が直接のアプローチに値すると認めた人々のことです。このステージを使用することによって、あなたが営業に渡した情報の質と量次第で営業とマーケティングの信頼関係が醸成される大事なフェーズです。定期的に営業とコミュニケーションをとりマーケティング施作の見直しを行うことが重要です。

Opportunity(オポチュニティ)

オポチュニティとはあなたのCRMにおいて実際の販売機会になるコンタクトです。

Customer(顧客)

これは誰にとってもお気に入りのステージでしょう。顧客に対しても購入したからと言っておろそかにすることは止めましょう。定期的に役立つコンテンツを提供することで興味を維持して継続的に購買するロイヤルカスタマーへと発展させることが重要です。

Evangelist(エバンジェリスト)

エバンジェリストは、あなたのビジネスの支持者となるコンタクトのことです。弊社ではビジネスパートナーや記者、アナリスト、顧客を紹介してくれる顧客といった方々をこのステージに設定しています。

その他

その他はワイルドカード的なライフサイクルステージです。オポチュニティだったけれども失注したユーザーや、重要取引先など自由に設定します。

Evangelist(エバンジェリスト)HubSpotでは、コンタクト情報のプロパティにライフサイクルステージが設定されています

カスタマーライフサイクルステージをどのように管理していくのか

HubSpotなどを用いるとフォームから入力された情報やコンバージョンしたランディングページなどをもとにコンタクト情報に適切なライフサイクルステージを設定することが可能です。また、特定のページを見た人や資料を複数回ダウンロードした人などで次のステージへと変遷させることも可能になります。

また、これらステージごとのリストを作成しておき、自動でリストに加わった時からそのステージ用のワークフローでマーケティング活動を自動化するなどといったことも可能になります。高度なマーケティング設計を行う場合には、ユーザーのアクションに基づくスコアリングを行い、ある一定のスコアに達した場合にライフサイクルステージを変更することも容易に行えます。次回以降により具体的なご紹介はさせていただく予定です。

今回、ご紹介した顧客ライフサイクルステージは、現代的なマーケティングを行う上で必須の概念ですので是非自社に置き換えて考えていただければ幸いです。