HubSpotと他のマーケティングオートメーションツールとの違いの一つにHubSpotではHubSpot COSを提供している点があります。HubSpot COSとは、Contents Optimization System(コンテンツ最適化システム)の頭文字をとっており、簡単に言うとHubSpot社が提供する高機能版CMSと捉えると良いでしょう。
今回の記事では、一見わかりずらいHubSpot COSについて、HubSpot COSとは?何が良いの?特徴は?にお応えします。
HubSpot COSは必須なの?
よくお客様から「HubSpotってHubSpot COSに移行する必要があるんでしょ?」という質問をいただきます。
答えはNoです。
普段使っているWordPressやHTMLからも他のマーケティングオートメーションツール同様にHubSpotのオートメーション機能は使えます。
しかし、HubSpotが単なるマーケティングオートメーションソフトウェア(以降、MA)ではなくインバウンドマーケティングソフトウェアと言われているのは、CMSやCRMなどの機能をMAに統合している点にあります。
つまり、HubSpotを導入する多くの企業は以下のようなパターンでセールス&マーケティングのシステムを構成することになります。
当初、リードプラスでもブログをWordpressで構築し、MAとしてHubSpotを利用していました。今は弊社のWebサイト全体をCOS上で構築しています。
そもそもHubSpot COSは使われているの?
ご紹介した通りHubSpotを導入する場合、フロントの構築には2種類の方法があります。1つ目は、既存のWebサイト(WordpressやHTMLで構成されているのが一般的)にHubSpotを接続する方法です。そして、2つ目がHubSpot COSを使ってWebサイトを構築する方法です。
普通に考えて、今動いているWebサイトにHubSpotを接続するほうが、HubSpot COSへ移行するより楽だと思いますよね?移行は躊躇しますよね?多くの人が、世界的に有名でみんなが使っているWordpressで作成されたCMSで良いのではと思うでしょう。
しかし、例えば弊社のサイト(今、皆さんが見ているサイト)は、HubSpot COSで動いています。そして、リードプラスのお客様の半数近くがHubSpot COSを利用してインバウンドマーケティングを実践しています。
つまり、HubSpot COSにはWordpressやHTML以上の価値があるということになります。インバウンドマーケティングを真剣に行えば行うほどHubSpot COSが必要になってくるのです。
それではHubSpot COSについて、そしてCOSを使うべき理由に関してご紹介していきますね。
HubSpot COSとは?
HubSpot COSとは、コンテンツを最適化するHubSpot社が提供するCMS(コンテンツ管理システム)です。HubSpot社では、コンテンツ最適化システムなどと言っています。そしてこのHubSpot COSは、HubSpotを導入した方であれば、すぐに利用できます。
こちらは、HubSpot COSの概念図です。
一般的にCMSというとブログを思いつくかもしれません。しかし、COSはブログだけでなくWebサイト、Eメール、ランディングページを作成したり管理することが可能です。
すべての制作は、直感的に編集できるWYSIWYG形式のオンページエディターを使えるので、Word感覚で作成できるのは便利です。
*WYSIWYG(ウィジウィグ)とは、コンピュータのユーザインタフェースに関する用語で、ディスプレイに現れるものと処理内容(特に印刷結果)が一致するように表現する技術。
オンページエディターでブログを執筆している様子。Microsoft Word感覚でコンテンツの作成が可能です。
と、ま〜ここまではWordpressだって出来るよ(Eメール以外)という領域だと思います。
しかし、この図の中に書いている部分が一味違ってきます。最適化(Optimization)、フォーム、コールトゥアクション(CTA)、洞察(Insight)、そして全てがパーソナライゼーションされます。
なんのこっちゃ???ですね。説明していきます。
HubSpot COSのSEO機能
HubSpot COSを使うとHubSpotからSEO対策に関するアドバイスをシステムから受けることが可能です。インバウンドマーケティングは「見つけてもらう」ことから始まります。このSEO機能でHubSpotがGoogleなどの検索エンジンから見つけてもらうためのアドバイスをくれるわけです。
たとえば次の画像は、HubSpot COSでブログを執筆している最中のものです。左にある「グラフアイコン」をクリックすると最適化画面が表示され、SEO対策の指針を教えてくれています。言われたとおりの修正します。
ブログ記事を公開したら検索エンジンの順位を見たくなりますよね。HubSpotのキーワードトラッキングツールで順位を確認します。この図では、リードプラスが上位表示させたいキーワードが657個あり、Googleの検索結果でトップ3にランキングされたキーワードが66個、トップ10にランキングされたキーワードが164個あることがわかります。 キーワードをクリックするとランキングを時系列で表示したり詳細の情報を得ることができます。
インバウンドマーケティングの真骨頂とも言うべき「見つけてもらう」、つまりSEO対策がなされた状態でコンテンツが生成されるという点にCOSは力を入れています。
COSで作成されたコンテンツは検索エンジンに最適化され、あなたのビジネスに関係するキーワードの順位を追跡し、競合企業の実績までも把握できるツールが搭載されているのです。
これによりマーケターはコンテンツに集中できるというメリットがあるわけです。細かなSEO対策は、変化の激しいSEOに対応するHubSpotに任せられるので心強い限りですよね。
最初からモバイル対応
B2Cはもちろんですが、B2Bビジネスでもモバイルからのサイトへの訪問が年々増しています。
あなたのWebサイトはモバイル対応していますか?Googleは、モバイル対応をランキングシグナルとして使用すると明言している(つまり検索ランキングに影響する)とおりモバイル対応は今の時代必須です。
HubSpot社がCOSについて「人々に愛されるコンテンツを作るツール」と言っているように、HubSpot COSで作成するコンテンツは、すべてが最初からレスポンシブウェブデザインに対応しています。つまり、タブレットであろうとスマートフォンであろうとユーザーが持っているデバイスに依存しない、最適な表示を細かなコーディングなしに簡単に作成できます。
こちらの図は、モバイルプレビューをした画面です。
このモバイル対応は、ブログ記事やWebサイトだけでなくEメールなどにも適用されるためマーケターはここでもコンテンツに集中することが可能になるわけです。
パーソナライズでコンバージョンを加速する
One to Oneマーケティングが重要であることは誰でも知っていることでしょう。そのためにはパーソナライズした情報提供が必要不可欠になります。しかし、多くのマーケターがその方法をうまく活用できていない現状もあります。
HubSpotでは、Webサイトコンテンツやそこに設置されるCTA、Eメール(単なる差し込み機能ではありません)などにユーザーの状況に応じたパーソナライズを実施できます。
HubSpot COSでは、スマートコンテンツという機能が提供されます(プロフェッショナルエディション以上)。これを利用するとユーザーの置かれている状況に応じて表示するコンテンツをパーソナライズ(出し分ける)ことができます。たとえば、既存の顧客にはアップセルを促すコンテンツを、コンバージョンしたばかりの見込み客には製品紹介のコンテンツをなど個別のページの提供により的外れなWebサイトから脱却することができます。
4つのコンポーネントの特徴
ここではCOSの各コンポーネントの特徴を簡単にご紹介します。
HubSpot COS ブログ
モバイル、ソーシャル、検索エンジンに最適化されたブログにより、訪問者を引きつけられるようになっています。また、FacebookやTwitterといった主要なソーシャルメディアへの自動投稿機能により集客に貢献できます。
こちらはブログ記事をソーシャルに投稿する画面です。HubSpot COSでは記事公開時に自動投稿することも可能です。もちろんソーシャルにおいても全ての分析が可能です。
HubSpot COSランディングページ
訪問者をリードにコンバージョンするためのランディングページが統合されています。一度コンバージョンした人に対して、何回も同じ内容を入れなくて済むように、フォームの入力項目を最小化しリードジェネレーションを促進します。また、徐々に深い質問などを戦略的に行うことも可能です。
こちらはフォーム作成画面です。プロパティの設定などで簡単にフォームの制御ができます。
HubSpot COS Webサイト
訪問者のステージやアクセスしている場所などにあわせて表示させるコンテンツを切り替えます。また、一度フォームに入力してくれた情報をもとに表示を切り替えることができるため、たとえば訪問者の業種ごとに表示を変えたり、パーソナライズでコンバージョンをしやすくさせることが可能です。
HubSpot COS Eメール
Eメールの作成から配信、効果を測定できます。差し込み機能やリードのステージ、リードのプロパティなどに応じたメール文面の切り替え機能によりパーソナライズしたメール配信が可能になります。また、即時・予約配信に加えアクションに応じた配信、ナーチャリングのためのメールなど柔軟に対応できるため、価格ページを見たら営業から自動でメールを出すなどホットな状況を逃しません。
こちらの図はブログ同様に簡単にEメールを作成している画面です。パーソナライズや配信セッティング、差し込み機能がEメール作成画面から簡単に行えます。
HubSpot COSの優れた分析機能がインバウンドマーケティングを成功に道びく
HubSpot COSを選択する最大の理由、それは圧倒的に優れた分析機能です。たとえばリードプラスでは、このコンテンツを読んだユーザーが顧客化したのかを常に確認しています。それがわかればそのコンテンツは売上に貢献するわけですから、そのブログ記事やWEBページに自然に誘導すればよいわけです。
コラム:SalesforceとHubSpotのインテグレーション
リードプラスでは、HubSpotとSalesforceをリアルタイムに連携させMQLになったユーザー情報をSalesforceに受け渡ししています。そして、商談が順調に進み顧客化した暁にはHubSpotに情報がリアルタイムで連携されているためユーザーのステージをCustomerに自動変換し、Customer向けのナーチャリングプロセスに切り替えています。
いくつかご紹介していきましょう。
ブログの分析
ブログのビュー数やブログに設置したCTAのクリック数、クリック率などを一元的に確認することができます。また、ダッシュボードでは、閲覧数の分析だけでなく、CTAクリック数の上位記事一覧やコンバージョン上位記事一覧などを確認できます。
それぞれのブログ記事分析にドリルダウンするとソース分析(どこから来たのか)やビュー数はもとより、コンバージョン数やその記事を経由した顧客数、顧客化率などを確認することができます。
ランディングページの分析
ランディングページの閲覧数やコンバージョン数、コンバージョン率などを一元的に確認することができます。また個別のランディングページ分析では、ランディングページ訪問前のソースや獲得したコンタクト情報、そして、そのランディングページから顧客化しているのかなどの数値を確認できます。
こちらの画面では、49名がランディングページを閲覧して24.49%のコンバージョン率であることがわかります。そしてコンバージョンしたユーザーへのリンクやソース分析など細かな情報をえることができます。
フォームの分析
フォームの閲覧数やコンバージョン数、コンバージョン率、フォームの設置場所などを一元的に確認することができます。コンバージョン率が低いフォームなどはヒアリング項目などを見直すことで高いコンバージョンを獲得することが可能になるかもしれません。
こちらの画面はフォーム全体のパフォーマンスを一覧表示しています。
WEBサイトページの分析
Webサイトページ全体のパフォーマンスを分析することが可能です。ビューだけでなくコンバージョンした上位ページランキングなど全体間の把握に加えて、個別Webページの詳細な分析も可能です。
たとえば確認したいページにドリルダウンすると閲覧数やコンバージョン数、コンバージョン率、顧客獲得数、顧客化率などをソースごとに分析することが可能になります。直接トラフィック、自然検索、リファーラル、キャンペーン、ソーシャルメディア、Eメールマーケティングで最も効果の高い施策に注力することで、より効果的なマーケティング施策に集中できるようになります。
Eメールの分析
HubSpotではEメールを一元管理します。配信数はもとより開封率やクリック率などをデバイスごとなどきめ細かな分析ができます。クリック率が低いEメールなどは改善していきます。
こちらの画面は特定のメールのパフォーマンス画面です。クリック率などが表示されている部分をクリックするとクリックマップやクリックしたユーザーのリストなど、さらに詳細の分析が可能です。
CTAの分析
HubSpotではCTAを一元管理します。
それぞれのCTAの閲覧数やクリック数、クリック率、そして、コンバージョン数などの一覧が確認できるので、効果的なCTAはそのままに、非効率的なCTAの置き換えやデザイン変更の検討などが瞬時に判断できます。
また、CTAの設置場所一覧や詳細分析のためのドリルダウン機能、時系列での成果などの確認も可能です。
次の画面はCTA全体のパフォーマンスです。
次の画面は個別のCTAの分析画面です。これを確認しながらCTAの画像を変えて試したり、パフォーマンスが悪ければ違うオファーの検討などを行います。
まだまだあるHubSpot COSの優位点
COSの優位性は他にもあります。いくつか代表的なものをご紹介していきますね。
パフォーマンス
実はまず第一に関心したのがパフォーマンスの良さです。リードプラスでも以前はWordpressを利用していました。パフォーマンスを上げるためにいろいろなプラグインを入れたり、画像のサイズを最適化したりと結構面倒な作業をしていました。
COSは、HubSpotが提供する環境で利用するホスティングサービスです。パフォーマンスはHubSpotにかかっていると言っても過言ではありませんので最初は不安があったことも事実です。
しかしひとたび移行してみると、なんとWordpressより全然早いではありませんか。しかもチューニングなしでGTMetrixで確認するといきなりAランクでした。
Wordpressなどと比較した場合のパフォーマンス比較に関してはBenchmarking Website Performance on HubSpot COSが参考になるかと思います。
運用管理性
また、余談ではありますが一般的にWordpressなどを利用する場合には、サーバーをレンタルする必要があります。その場合、OSやWebサーバー、Wordpressのバージョンアップやセキュリティ、バックアップなど結構面倒な作業を強いられます。面倒ですよね。その一方で、HubSpotの場合は、HubSpotのホスティング環境を利用できるので余計なサーバーを契約したり煩雑な運用管理をする必要がなくなる点も良いことの一つでしょう。
コンバージョンしてなくても初回ビジターにおもてなし
ユーザーが、WEBサイトに足を踏み入れた時点からコンテンツの最適化が始まります。IPなどから閲覧している場所やソース、デバイス、言語設定に基づいてコンテンツを最適化することができます。
まとめ:すべてのチャネルが完全に統合、つまりオールインワン
HubSpotはインバウンドマーケティング専用のプラットフォームです。単なるCMSではないので、Eメールやソーシャルメディア、リード管理、マーケティングオートメーションなどの機能がすべてCOSと連動します。これによりユーザーに一貫性のある体験や戦略的なマーケティング施作の提供が可能になります。
すべてはユーザーを基準に考えているHubSpotでは、対象のユーザーが自社から発信したメールで何に興味を示したのか、ソーシャルで何を言っているのか、そして、どのページを閲覧して何をしているのかなどすべてのトラッキングが可能です。
また、あなたの会社のWebサイトで価格ページを2度訪問した顧客に対して、営業から自動でメールを送信したり、キャンペーンのオファーなどを送信したりできます。
すべてが連携されているから成せる技なのでしょう。
コンテンツマーケティングやインバウンドマーケティングを行ウ場合には、PDCAをまわすことは必要不可欠です。しかし、PDCAを実現するための見える化ツールがバラバラだったりしたら分析も煩雑になるし正しいデータを取るにも四苦八苦します。HubSpotは、あらゆる角度から分析が可能なため真にコンテンツマーケティングやインバウンドマーケティングに集中できる環境を提供してくれるところが素晴らしいといえるでしょう。
HubSpot の導入やHubSpot COSヘの移行など、御興味がありましたら弊社へご連絡いただければ幸いです。
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