経営者が知っておきたい「働き方改革」

 2018.01.24  LeadPlus

いまや多くのメディアで連日取り上げられている「働き方改革」ですが、2016年9月の「働き方改革実現会議」の設置を機に、その機運が一気に上昇したのは記憶に新しいと思います。しかしながら、一方でそれから1年以上経過し、働き方改革への失望感や批判も目立ち始めているのも事実でしょう。

その間に起きた、大手広告代理店での過労自殺の事件や、プレミアムフライデーなどの失敗により、多くの人たちはその都度局所的なテーマを突き付けられることによって、本来の働き方改革の意義や、本来皆さん一人一人が享受すべきメリットを見失って、どこかやらされ感の高いつまらないテーマに成り下がってしまったのではないでしょうか。しかしそれは非常にもったいないことです。

一人一人の働き方の中で、合理的ではない業務を見直し、生産性を高め、労働時間の総量を減らしながら高い成果を上げるということに対して異論のある人は少ないでしょう。では、本来の働き方改革のメリットを享受するために、各組織に関してどのようなアプローチをすればよいのかという考え方を整理してゆきましょう。 

働き方改革は一律に行うもの?

働き方改革の取り組みに対する批判の中で多いものの一つに、「一斉に」残業時間を削減する、「一斉に」在宅勤務をするなど、個々で業務上異なる事情があるにもかかわらず、一斉に行う施策から入ってしまうことが挙げられるでしょう。その最たるものとしてみなさんが思い浮かぶのは「プレミアムフライデー」ではないでしょうか。

プレミアムフライデーに対する意見としては、なんで忙しい月末の金曜日なのだとか、部署によって帰れる人と帰れない人がいて不公平だ、などが代表的なものではないでしょうか。

そもそも論でいくと、なぜ一斉に早く帰ることが働き方改革につながるのかが、だれにも腹落ちしていないことが根底にあるように思われます。

そうです。みなさんもともと業種や職種によって勤務体系も違いますし、時間や場所への依存度も異なります。この状況で結果平等的な施策を行うのでうまくいかないのです。もし「平等な」改革を求めるのであれば、本来あるべきは機会平等であるはずです。なぜなら先に述べたように、個々に求められるもとの働き方がそもそも異なるからです。

そのためにまず取り組まなければいけないのは、無駄を排除して合理化を行い、その中で働く場所や時間の「選択肢」を与えることです。慢性的な残業をこなさなければならない仕事の量をそのままに、一斉に時間を短縮するという結果を求める施策がいかに不条理なものであるのかお分かりいただけるでしょう。

なので、まず取り組まなければいけないのは、業務を合理化するということです。これは必要な業務も削るという意味ではありません。目的に対して本当に必要な業務プロセスのみに集中することです。また人が行わずに、ITの力を借りることで省力化ができる業務はためらわずITを活用することです。そのために、多くのITベンダーが「働き方改革」を起点に様々なソリューションの提供を行っています。一部そのつながりがわかりにくいケースもありますが、このような背景があるため、働き方改革とIT活用は非常に相性がいい組み合わせなのです。

このようなベースの視点をもって、具体的な働き方改革に取り組むためには、どのようなアプローチが効果的でしょうか。

職種によってもともと働き方は違う

先に述べた通り、組織には多くの部署があり、それぞれ業務の特性が異なり、結果としていま現在の働き方も異なるでしょう。たとえば、営業の担当者は昼間客先に外出するのが普通でしょうが、経理担当者が毎日外出して直帰するということはなかなかないでしょう。

店舗の担当者は営業時間内でないと接客業務を行えませんが、企画業務の担当者は夜自宅の周辺をウォーキングしているときになにかを思いつくかもしれません。

このように、一つの組織の中でもすでに多様な働き方は存在しています。そのため、職種という切り口で考えるのがわかりやすいでしょう。

代表的な職種として、まずは以下のようなものを挙げましょう。

  • マーケティング、企画
  • 営業
  • バックオフィス
  • 開発、生産や店舗などの現場業務

それぞれごとに、業務効率化のポイントを考えてみましょう。

マーケティング、企画部門の働き方改革

まずは製品やサービスを生み出す大元となるマーケティングや企画部門です。

BtoBマーケティングお役立ち資料

特にマーケティング部門に関しては、ここ数年でその役割と期待値が大きく変化してきているのではないでしょうか。以前は広告や展示会、イベントなどの出展を通じて市場への認知を上げる活動が中心で、そこでのリーチ数などをもとに貢献度が測られることが多かったのではないでしょうか。しかし、近年マーケティング部門に対する期待値が変わってきています。それは、より購入の可能性が高い見込み客を見つけ、営業部門に渡すということです。つまり、量から質への変換です。

これまで伝統的にマーケティング部門と営業部門は必ずしもうまく連携できておらず、場合によっては相反する主張をするということも珍しくありませんでした。しかし企業組織においては販売責任を負うということで、マーケティングと営業は同じカテゴリに分類されることが多く、さらにマーケティングは営業の前工程であり、それらは連続したプロセスであることがより期待されるに至りました。

そうなると、展示会やイベントなどは、これまでかけていた莫大な費用や手間に対して見合わなくなってきているという認識が広がってきたのです。その背景には顧客の購買行動の変化があります。

顧客行動の変化に応じた働き方改革

以前はAIDMAというモデルが有名ですが、顧客行動のスタートはA(Attention:注目)であり、そこから直線的にI(Interest:興味)、D(Desire:欲求)、M(Memory:記憶)、A(Action:行動)と進むため、広告や展示会での認知活動は大きな役割を果たしました。

これに対し、現在のインターネットが発達した社会においては、AISASモデルに代表されるように、S(検索)が大きな役割を果たします。AISASモデルでは、A(Attention:注目)I(Interest:興味)、S(Search:検索)、A(Action:行動)、S(Share:共有)という行動プロセスで説明しています。そのため、せっかく認知をしても、検索でうまくヒットしなければその先のプロセスでは検討の対象にならないことすらあります。逆に、検索でうまくヒットすることにより、そのあとのプロセスの検討対象になることもできるのです。

つまり、マーケティング部門の合理化というのは、認知を上げるための広告や展示会から、正しく検索で見つけてもらえるための活動にシフトすることを意味します。

このコンセプトを「インバウンドマーケティング」と呼びます。これに対して、広告や展示会、イベントなどの活動を「アウトバウンドマーケティング」と呼びます。そのもっとも大きな違いは、インバウンドマーケティングが見込み客の主体的な検索という行動を起点にしているのに対し、アウトバウンドマーケティングは見込み客の意思に関係なく自社の都合で露出をする点です。このため、本当の見込み客を見つけられる確率は非常に低いうえ、膨大なコストと手間をかけていたのです。

もちろん単純な認知度向上のために広告等を使う場合もあると思いますが、マーケティング部門の役割が変わってきているため、その活動内容もより合理的にしてゆく必要があるのです。その結果、いつも忙しそうにしているマーケティング担当者は、よりじっくりと顧客ニーズに向き合い、手間を減らしながら現在求められている結果に近づくことができます。

また、オンラインの活動が中心となるため、場所に依存しない働き方も取り入れやすくなります。「インバウンドマーケティング」のコンセプトを取り入れることが、マーケティング部門の働き方改革の第一歩となるでしょう。 

営業部門の働き方改革

次に営業部門の働き方改革について考えてみます。

営業担当者は内勤営業を除き、もともと客先を訪問しながら営業活動を行うのが一般的だったので、オフィスなどへの依存度は高くありませんでした。では、営業活動の効率を落としている要因は何でしょうか?アポイント取りの苦労でしょうか?提案資料の作成の時間でしょうか?

おそらく多くの場合、購入の可能性が低い顧客への対応や訪問ではないでしょうか?例えばマーケティング部門が出展した展示会のブースにたまたま立ち寄った顧客が非常に魅力的なアカウントの社員だった場合、すぐにフォローしてくださいとリードを渡された経験はないでしょうか?そしてフォローしてみると、たまたま通りすがりにブースに立ち寄り、興味本位で説明を聞いただけで、特に検討しているわけではないということはないでしょうか?

先にマーケティングのところで説明したように、現在ではマーケティング活動は購入可能性の高い見込み客を見つけるための、営業の前工程としての役割が期待されています。しかしながらマーケティングが従来のアウトバウンドマーケティングを行っている限りは、営業もアウトバウンドで行うことになります。顧客になる可能性が見えないまま、とりあえず訪問して状況を聞き出す。当たるのは何回かに一回だけ。そんな状況はないでしょうか?

それこそが営業の生産性を下げている最大の要因です。ではどうすればよいのでしょうか?

前工程のマーケティングがインバウンドマーケティングになれば、後工程である営業もインバウンド営業になります。リードはそもそも自発的に何かを探してきていて、どのようなコンテンツに興味を持っているかまですでに把握できています。例えば、一般的な働き方改革についての記事を読んでいるだけであればまだ検討の初期段階か個人的関心かもしれません。しかし、テレワークのセキュリティ対策やツールの価格比較を見ているのであれば、まさに導入を検討しているのではないかという推測ができるでしょう。

このため、営業訪問の打率は上がり、空振りを減らすことができるでしょう。徒労に終わる顧客フォローを減らして、より重要な顧客にリソースをつぎ込むことこそが営業の働き方改革のスタート地点ではないでしょうか。

バックオフィス(業務部門)の働き方改革

バックオフィス業務とは、おもに人事、経理、法務などの間接業務を指します。最近では一部の機能をアウトソースすることも増えていますが、やはり各組織固有のルールや考えもあるため、すべてを外部委託するということはないでしょう。そのような環境中での効率化を考えてみましょう。バックオフィス業務にはいくつかの効率化できる要素があるとこがわかります。

組織に依存しない定型業務

間接部門の業務のなかでも、たとえば経費精算などは日本の会計ルールにも関係するため、組織独自の処理が許されるわけではありません。そのため、各組織で共通の業務は社外にアウトソースし、自社の社員は自社固有や強みとなる業務に専念することにより、トータルの効率性を上げることができます。

組織内の定型業務

間接部門の業務でも、受注の処理や契約書の作成業務など、その組織固有の業務は存在します。この場合に検討される効率化の方法は、RPAなどによる自動化による効率化です。たとえば書類作成のためにアプリケーションのデータを転記するなどの作業は、ツールを使用して自動化することにより、高速化できるのと同時に人手によるミスをなくす効果もあります。このような単純業務を自動化することで、担当者は判断が必要な案件に従事するなどより重要な業務に専念でき、単純作業による業務量の増大を避けることができます。

社外に対する働きかけを伴う業務

間接業務の中でも、社外に対する働きかけを伴う業務もあります。例えば人事による採用活動は代表的な例です。一般的には候補者をエージェント等に依頼し、その中から選考を行います。候補者もエージェントに紹介されて応募するというケースも少なくなく、お互いのミスマッチが起こりやすいうえに膨大なコストと手間を擁しているのが現状です。このような活動に対しても、候補者が自ら探しているポジションにヒットするようなコンテンツを提供し、見つけてもらうことでそのミスマッチを解消しやすくするとともに、確率の低かったマッチングをより効果的にすることが期待できます。これにより、採用担当の手間は大きく削減でき、より可能性の高い候補者の選考に専念できます。インバウンドマーケティングの考え方を応用したアプローチです。

以上のように、バックオフィスの業務においては、その業務の性質により効率化のアプローチが異なります。働き方改革を実現するには、

  • いかに「人」が行わなければいけない業務以外を自動化、効率化するか
  • その結果の業務を、場所や時間への依存から解放するか

といった視点が必要です。

そのためには、外部サービスやITの活用はもちろんですが、インバウンドマーケティングの発想も役に立てることが可能です。 

開発、生産や店舗などの現場業務の働き方改革

 現場を伴う業務の働き方改革では、場所への依存性が高いため、時間あたりの時間効率を高めることが主要なアプローチとなるでしょう。

そのためには、やはりITの活用が欠かせません。たとえば店舗業務においては、開店時間だけが業務時間ではありません。開店時間外での在庫の棚卸や伝票の確認など、間接業務的な要素も多く含まれています。また接客等の業務においても商品在庫の確認や入荷予定の確認、予約の受付など、関連する業務は多岐にわたります。

このような業務においてタブレットデバイスなどを活用しながら効率化するとともに、ミスを減らすことでトラブルの防止や顧客満足度の向上など副次的効果も期待することができるでしょう。

また最終的にはマーケティングや販売のデータなどをうまく活用し、仕入れを改善し、機会損失の減少や在庫回転率の向上などを効率化と両立しながら行うことが可能になってゆくと期待されています。

この結果、現場業務にまつわる様々な周辺業務を効率化し、業務前後の間接的な作業を削減することも非常に重要なアプローチです。 

「インバウンド」経営の効果

以上のように、働き方改革を実現するためのアプローチを、主要な職種タイプごとに検討してみました。まずは業務の合理性を高め、無為な時間を減らすことで、従業員に対して働き方の「選択肢」を提供することが非常に重要だということを述べました。決して一律に残業を減らしたり、早期退社を促したりすることが働き方改革ではなく、必要な人には十分な働く時間を与え、様々な事情で時間や場所に制約があっても十分に貢献できるように余計な業務を最小化してゆくアプローチがセットで検討されないと、だれにとっても幸せな働き方改革とは言えないのではないでしょうか。

そのために、効率と質を重視した考え方が必要です。社外に対してのアプローチが必要な業務では「インバウンド」のコンセプトが有効です。自ら課題を持ち、何かを探している人に優先的にたどりつくというアプローチにより、効果的に対象者にたどり着き、空振りや無駄打ちを最小限にします。またこのコンセプトの実現にはITの活用は必須であり、ITの活用はすべての業務に対して不可欠な要素となるでしょう。

現在声高に叫ばれ始めている「デジタルトランスフォーメーション」は、AIやIoTなどのデジタル技術の活用で新たなビジネスモデルを創出し差別化を図るという文脈で使用されることが多いですが、一人一人の働き方のトランスフォーメーションも同時に検討しなければ十分ではありません。ビジネス自体のトランスフォーメーションとそれを支える働き方のトランスフォーメーションは表裏一体ともいえるでしょう。つまり、働き方改革はデジタルトランスフォーメーションの一つの要素とみなすこともできるのです。

働き方改革は様々な論点で議論されますが、いま漂い始めている「やらされる」ことによる失望感を打破し、本来の改革を目指してゆくお手伝いをさせていただきたいと考えています。

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