ネット動画が広がる今だから、ぜひ見て欲しい。過去の名テレビCM3選

 2020.09.25  LeadPlus

かつて広告の中心はマスメディアで、その中でもテレビCMは大きな影響力を持っていました。それがインターネットが広がり「ネット動画」の存在感が増してきているのは、ご承知のとおりです。この記事では「過去に学ぶ」という体裁で、ぜひご覧いただきたい過去の名テレビCMを3つ紹介したいと思います。

基準としては、ネット動画に生かせそうなノウハウがあるテレビCMを選んでいます。ぜひ参考にしてください。

※本来であれば映像そのもののリンクを付けたいところですが、過去のもののためオフィシャルに公開されたものが見当たりません。ご了承ください。

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水性キンチョール「つまらん」(2003年)

KINCHO(キンチョー)、または金鳥の商標名でよく知られる大日本除虫菊株式会社。過去から非常にユニークなテレビCMを連発しています。確か日曜日の夜に提供番組があって、(明日から仕事だなぁ・・・)という暗い気持ちをほんの数秒忘れさせてくれるくらい、面白いテレビCMがいくつもありました。

とりわけ2003年の水性キンチョールのCMは秀逸で、名優大滝秀治、岸部一徳が出演した「つまらん」編は、ACCの殿堂にも入っています。

ACCとは:「ALL Japan Confederation of Creativity」の略で、広告主や広告会社、メディアや制作会社が集うプロフェッショナルの団体。以前はテレビCMが活動の中心だったが、クリエイティビティ全般に領域を広げている。

時は2000年代に入り、地球規模での環境問題が多く議論されるようになった頃。そのためキンチョールも環境にやさしく大気を汚さない水性になりました。そんな理屈を説明しようとした息子役の岸部一徳の話を、何とこのCMでは父親役の大滝秀治が「つまらん!」と一喝し、とうとう説明をさせてくれないのです。

本来であれば広告というのはその商品の良さ、メリットを伝えるべきもの。このCMであれば環境への取組み、といったことが訴求されるべきものだったはず。しかし環境問題というのは、きちんと説明をしようとすると小難しいものになります。また直接は生活者と関わるものではありません。

ですからそんな小難しい説明をしようとする息子を父親が一喝して遮る、そんな理不尽ともいえるCMとなっているのです。

このCMをどうして見ていただきたいかといえば、今の時代であればSNSで拡散されることが必至だろうな、と思ったからです。

現在はCMがテレビという一つの枠に留まらず、SNS上で次々と拡散されていく時代。以前のように視聴率が高い番組のスポンサーとなったり、良い時間帯の枠を買ってテレビCMを流さなくても、CMそのものに魅力があれば広げていくことができるのです。

さてキンチョール以外にも多くの商品がある大日本除虫菊株式会社は、他にもユニークなテレビCMを多く制作しています。またそれは現在進行形です。大日本除虫菊株式会社の公式Webサイト上にギャラリーとして掲載されていますので、参考にしてみてください。このように面白いCMは、公式サイトのコンテンツともなり得ますし、それによりブランドを押し上げる力を持っています。

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キンチョーCM集

カップヌードル「hungry?」(1992年)

日清のカップヌードルはカップ麺の定番といえるビックネーム。つまり誰もが昔から知る商品です。そんなカップヌードルが非常に大胆なCMを投入したのが1992年。

マンモスと原始人の集団がワーワー騒ぎながら追いかけっこをして、最後に「hungry?」と一言のナレーションが。商品の説明もしていない、芸能人が出ているわけでもBGMが入っているわけでもない。それで「何だ、これは」となったのです。

このCMが成り立った前提の一つが、「誰もが知る商品」だったことでしょう。カップヌードルと言えばカップ麺、老若男女問わず知っているから商品の説明をしなくても、最後にワンカットだけ出せば宣伝として成り立ったわけです。

そしてこのCMの魅力は、「hungry?」というたった一言のキャッチコピーです。これを問いかけられた際にそのまま素直に受け取る方もいれば、さらに深い意味があるのではないかと深読みする人がいるわけです。ただ後者の場合でも、一周まわって素直に聞けばいいのかもしれません。空腹だったらカップヌードル食べようぜ、という感じですね。筆者はこのCMの意味を考えてなかなか一周まわりきれなかったため、かなり長い間この意味を捉えきれずにいましたが・・・。

なおこのCM、カンヌ国際広告映画祭グランプリを日本のCMとして初めて受賞したということです。このことから一般の生活者はもとより、海外のプロをもうならせた名作ということが証明されています。

映像は先ほどもお伝えした通り、マンモスと原始人の集団が追いかけっこをするだけのもの。言ってみれば単純な動きです。そしてコピーもひと言、それも英語です。海外の賞を授かったということは文化や言葉の壁を超えることができたというわけですから、今のグローバルな世の中に出す動画としては、このエッセンスも使えそうです。

1990年代始めといえば、まだCGも普及していない頃です。こうした映像を撮影しようとすれば、多くのキャストを使った実写で撮るしかないような時代でした。そのためいま見れば朴訥ともいえる映像になっています。現代で同じ映像を作るならば、CGを使って低予算で格段にクォリティが違うものができるでしょう。

このように時代や技術とともに映像は変わっていくものですが、変わらないのが言葉の力です。

今あのCMを作ったらどうなるのかなあ、と思いながらカップヌードルのWebページを訪れてみると、何とhungryを使ったページになっていました。

秀逸なコピーの力をまざまざと見せつけられました。

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カップヌードル

関西電気保安協会「現場急行篇」(1990年前後)

非常にローカルなCMも紹介したいと思います。ローカルですが、関西に縁のある人なら誰でも知っているといわれるCMです。

関西電気保安協会というのは、一般家庭向けに電気の点検、保安業務をおこなっている一般財団法人。筆者がこのCMを最初に見たのは、確か1990年前後だったと思います。いろいろなパターンがあり印象深いものが多いのですが、その中から初期に見た「現場急行篇」をピックアップしました。

どう考えても一般のスタッフである作業着姿のスタッフたちが街を駆け抜け、電気トラブルがあった現場へ向かうというCMです。そのバックではなぜか自前で作詞作曲したふうの歌が流れる(伴奏なしのアカペラ)という、非常にユニークなもの。

そしてこのCMシリーズの代名詞ともいうべき「関西電気保安協会♪~」のナレーションで締めくくられます(これもスタッフがリズミカルなアカペラで言います)。

正直、このCMを最初に見た頃は何がなんだかわかりませんでした。いま見返してみると、伝えたいことはちゃんと入っているなあ、というのがわかります。これは私自身もまだ実生活の経験が乏しかったので、電気の安全点検という概念がなかったことも大きいでしょう。そして仮に十分に理解はできていなくても、電気のトラブルが起こった際に「関西電気保安協会♪~」というナレーションが頭の中で再生され、あそこに連絡をすれば何とかなりそうと思えるのは、企業CMとして大きな成果でしょう。

このCMのポイントは、(おそらく)お金がそれほどかかっていないはず、ということです。

出演はスタッフ、音楽もアカペラ、CGやそれほど手のこんだ編集も加えられていないはずです。つまり非常にリーズナブルなCMといえます(これらはあくまでも外部から見た印象ですが)。

有名なタレントもBGMも使わず、凝った作りにしなくても印象に残るCMは制作できる、という良い見本なのです。関西に限らず、実は地方ではこうした「リーズナブルで印象深いCM」が昔からいくつも作られています。

インターネット動画もリッチなテレビCMの印象が強いせいか、「お金がかかる」「たいしたものが作れない」と二の足を踏むケースが多くあります。しかし過去からの地方CMのように、あまりお金をかけず企画と演出で成功する、というエッセンスをぜひ学びたいところです。

さて筆者は関西を離れずいぶん経つのですが、先日Twitterになぜかこの関西電気保安協会のCM広告が出てきました。しかも最新のものです。見た感じちょっとリッチな作りになっていましたが、ユニークなコンセプトと「関西電気保安協会♪~」というナレーションは受け継がれていました。関西電気保安協会のWebサイトにCMの特集ページがありますので、ぜひご覧ください。

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話題となった作品(関西電気保安協会)

またGoogleで「関西電気保安協会」と検索すると、動画コンテンツとして自然検索結果に多く表示されます。これもCMが広く認知をされていることの表われです。

人気のあるCMはテレビだけでなく公式サイト(オウンドメディア)、SNS、検索エンジンとあらゆるメディアで広がっていきます。

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まとめ

この記事の執筆を始めた際には、昔のCMを紹介してそれを現在のネット動画の参考にしてもらうというまででした。しかしピックアップした三つのWebサイトを見ると、いずれも過去の流れが受け継がれていました。いうなればレガシーです。

また本文ではあまり触れていませんが、CMはその時代背景を投影させたものが少なくありません。水性キンチョールの環境問題というのはわかりやすいですが、カップヌードルもバブルが完全に崩壊し、景気の低迷が常態化してきたタイミングに放映されたことを考えると、原始時代の映像と「hungry?」というシンプルな問いかけが違った意味を帯びてきます。

動画広告の場合にはスキップされないように冒頭の掴みを意識する、時間はCM枠の15秒にとらわれなくても良いなど、ネット動画ならではのテクニックも多くあります。それに加え過去のCMから良いエッセンスを学んでいただければと思います。

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