インバウンドマーケティング

ペルソナの作り方とその実例

  • 2016.03.19
  • LeadPlus
ペルソナの作り方とその実例

先日の記事で“ペルソナとは? インバウンドマーケティングを成功へと導く最初の一歩”を紹介させていただきました。
その中でペルソナを作ることによってもたらされるメリットに、会社の戦略の幹となる、獲得する見込み客の質があがる、などがあることをご紹介しました。

今回のブログではどのようにペルソナを作るべきなのかをご紹介します。

ペルソナの実例(HubSpot社の例)

ペルソナはセグメントと異なり人の像に焦点が当てられています。以前述べた通り、セグメントのように数字で表示されることはありません。B2Cの消費財メーカーなどの企業には非常に明確なペルソナが存在しています。もちろん、B2B企業でもターゲットとなるペルソナは存在します。

まず最初にインバウンドマーケティングツールを提供しているHubSpot社の例をご覧いただきましょう。

B2B企業であるHubSpotもペルソナを複数設定しており、その代表的なペルソナに“Marketing Mary(マーケティング担当のマリー)”という女性がいます。ペルソナ名が「マーケティング担当のマリー」です。

 

ペルソナの作り方1

マリーさんは以下の特徴を持っています。

  • プロのマーケターで、役職あり(役員、ディレクター、マネージャー)
  • 25-500人の従業員を抱える中規模企業
  • 小規模のマーケティングチーム(1-5人)
  • 商学部卒、バブソン大学出身のMBA保有
  • 42歳で6歳、10歳の子供が2人

Goal(目標):

  • 営業担当に販促品や見込み客を引き渡しサポートすること
  • 会社内部のコミュニケーションの向上
  • ブランドの認知度の向上

Challenges(課題):

  • タスクが多すぎる
  • 目標までの到達までの道のりが不明瞭
  • マーケティングツールとチャネルがごちゃごちゃになっている

HubSpotが好きである理由

  • 仕事を含めた自身のライフをシンプルにしてくれるツールだから
  • インバウンドマーケティングに関するベストプラクティスを学べるから
  • 営業担当者やCEOに対して簡単にレポートすることができるから

などという特徴を持っています(一例です)。

このような理想の顧客像が自社にある場合と、ない場合では自社の戦略に雲泥の差が出ます(本能的に顧客像を正確に把握できるひとは少ないものです)。マリーさんに対して届けるべきメッセージが“よりシンプルにマーケティングを行い、営業担当に貢献し、マーケティング部門外の利害関係者に対して簡単にレポーティングを行えるのか”ということを軸に活動を展開するのがベストでしょう。

つまり、ペルソナがあることによって企業はより戦略的にメッセージを策定可能になり、マーケティング活動を行いやすくなります。

ペルソナに含めるべき項目(聞くべき項目)とは

上記のHubSpotのペルソナであるマリーさんとは少々異なりますが、一般的に含めるべき項目には以下の情報があります。

プロフィール/デモグラフィック情報:

プロフィールは個人的な部分にフォーカスする情報です。特にB2C系のビジネスを展開する場合には念入りにヒアリングする必要があります。

  • 名前
  • 性別
  • 年齢
  • 職業
  • 学歴
  • 収入
  • 既婚・未婚
  • 同居家族構成
  • 居住地域
  • 仲の良い友達の数
  • ソーシャルネットワークでの友達の数
  • 休日の過ごし方
  • 趣味
  • 好きなテレビ番組
  • 好きなサイト
  • 好きな旅行先好きな雑誌
  • 習慣
  • よく買い物をするお店
  • 所持しているPCやモバイルデバイス

仕事関連の情報:

仕事関係の情報は、B2Bのペルソナを作成する場合には特に重要な項目です。企業ペルソナなどと言われる場合があります。B2Bビジネスの場合、購買までに何人ものを関係する場合があります。そのような場合には購買に関与する人々のペルソナを設定していきます。

  • 役職
  • 事業規模(売上規模や従業員数など)
  • 業種
  • 業態
  • 所属部門
  • 企業の課題
  • 仕事上の役割
  • 意思決定における役割(購買関与度)
  • ITリテラシー(オンライン型/オフライン型)
  • 一日の過ごし方(通勤時や出社してから帰社するまで)
  • どのように情報を収集するか…..など

目標と課題(仕事とプライベートを含め)

想定するペルソナのゴールと課題を理解することで商品やサービスがどのように貢献できるのかをイメージしやすくなります。ターゲットペルソナの目標と課題を徹底的にヒアリングしましょう。

  • 一番目の目標
  • 二番目の目標 (さらにあればそれも含める)
  • あなたのサービスがどのように目標達成のアシストをできるか
  • 一番目の課題
  • 二番目の課題(さらにあればそれも含める)
  • あなたのサービスがどのように課題解決のアシストをできるか…..など

購買に至るまでの情報ニーズ:

購買までたどり着いたお客様にヒアリングする場合には、その情報ニーズに関して必ず聞くようにします。たとえば情報収集時に欲しい情報が見つからなかったと言われたら、コンテンツを作成することを検討します。また、比較検討した時になぜ自社の商品やサービスを選定したかを教えてくれたら、他社との差別化要素としてコンテンツを充足させることも検討できるでしょう。

  • 購入に至った動機
  • 購入前の不安
  • 最初に商品やサービスを認知した時の情報
  • 検索キーワード
  • 情報収集時の障壁
  • 比較検討した時の他の商品やサービス
  • 購入を決めた理由
  • 購入後に具体的な効果
  • 商品やサービスに対する将来の期待

価値観や嫌がること

  • 優先する価値観
  • 商談の際に気にする箇所

以上、一般的なヒアリング項目に関してまとめました。これらは全てを聞くのではなく商品やサービスごとに違ってくることをご理解いただければと思います。

また、ペルソナを作成する時には、難しい言葉でまとめるのではなく、明確に具体的に文章化することが非常に重要です。消費者がインターネットの発展にともない非常に強い購買力を持ち課題や疑問に対していつでもアクセスしています。その課題や疑問に対して明確な答えや価値を提供することがあなたのビジネスの成長へとつながります。

その価値へ答えるアイデアがコンテンツマーケティングやインバウンドマーケティングの起源です。ペルソナを作成した後には、ジャーニーマップを作成していくことになります。ペルソナ作成時に細かなことを聞いておくことによりジャーニーマップも簡単に作成できるようになるのです。

たとえば、ITリテラシーの高くないペルソナであったら、対面セミナーや勉強会が向いているコンテンツとなります。リテラシーが高く日常的にブラウジングをし、多忙なため時間がない方であれば、動画セミナーのほうが良いかもしれません。日本人は真面目な方が多く、通勤時間などで音を出せずにiPhoneなどのモバイルデバイスから仕事に関係するブログを購読する人が多いと言われています。そのような人々のためにブログがコンテンツとして向いているかもしれません。そのようなジャーニーマップを描くことも考慮してペルソナを作ることが重要となるわけです。

購買に至らなかったペルソナの作成

今までペルソナの作成は実際の顧客からヒアリングという前提でお話していました。可能であれば購買に至らなかった人にもヒアリングすることをお勧めします。

購買に至らなかった人の理由は多岐にわたるでしょう。他社製品や他社サービスを選定した方もいるでしょうし、その人の置かれている状態に左右される場合もあります。そして、そもそもWebなどで検索しても、自身の商品やサービスに行き着かなかった場合も考えられます。

もし、情報収集時に自身の製品やサービスに行き着かなかった人にヒアリングできれば、情報収集時に提供すべきコンテンツが明確になります。また、他社商品を選定してしまった人にヒアリングすることで、どのような点を考慮して他社に流れてしまったのかを聞くことでその部分のコンテンツを厚くすることも出来るでしょう。そもそも商品の選び方などを知らなかった可能性もあります。

このように購買に至らなかった理由を聞くことで情報ニーズを浮き彫りにすることで次の打ち手が明確化してくるのです。

ペルソナを絞り込む代表的な4つの方法

ペルソナを作るには、実のところ色々な方法があります。その代表的な方法として以下の4つをご紹介します。

自社内のメンバーにヒアリングをする:

自社内で顧客のエキスパートに話を聞くことがまず何より一番有効です。ほとんどの企業で顧客を一番知っているのは営業担当者とサポート担当者です。彼らに、理想の顧客像について様々な質問をしてみましょう。特にサポート担当者の人たちは理想の顧客像が抱えている悩み人一倍耳にしている可能性が高いです。それらを詳細に知ることによって、ペルソナの課題や目標を実際のデータを基に作ることができます。

自社サイトの分析をする:

Google AnalyticsのようなWeb解析ツールなどを利用されていますか?あなたがマーケターならばその回答は“Yes”となるはずです(と、願っています)。Google Analyticsの機能のひとつである“ユーザー情報”を確認することによって、どの地域の人なのか、どういった情報の取集の仕方をしているのか、また行動情報を用いることによってどのようなサイトコンテンツに対して興味を持っているのかを簡単に把握することができます。

関連記事:ペルソナ作成にGoogle アナリティクスを活用する方法

実際の顧客で理想的な顧客にインタビューをする:

自身のことを最もよく知っている人は、自分自身であることもあります。そのため、顧客自身にインタビューをすることも非常に有効な手段となります。ただし、日本人は一般的にシャイで自身の情報を明かさないことが多くあるため、インセンティブなどを提供し顧客の価値観や、仕事関係の情報、目標や課題を聞いてみるとよいかもしれません。真摯に対応するとより多くの情報を提供してくれることが多いため対面でのインタビューが理想的ですが、それが難しい場合は例えばSurveyMonkeyなどのようなオンラインのツールなどもありますのでそれらを用いるなどもできるかと思います。

ソーシャルメディアを利用する:

意外と利用されないのですが、ソーシャルメディアをうまく利用することによって実際の人となりを見ることなどができることがあります(プロフィールの公開設定の制限などがある場合もあります)。例えば、マリーさんタイプの実際の顧客とソーシャルメディアで繋がってみる(米国であればLinkedInが理想的ですが)という方法もあるかもしれません。また、Twitterなどであれば繋がるためのハードルが一段と下がります。SNSの使い方からどのような価値観を持っているペルソナなのかを知り得ることもできます(ただし、間違った使い方を行うとトラブルになりますのでモラルをもって利用することをお勧めします)。

上記のような方法を用いると多くの項目を埋めることができると思います。では、各項目をまとめあげたて実際に出来上がったペルソナはどのような外観になるのでしょうか。

ペルソナの具体例3つ

HubSpotはマーケティングを進めていくために様々なリソースを提供しています。その中の一つに、HubSpot Examples(英語)というものがあります。そちらから幾つかのペルソナをご紹介します。

例1:HRマネージャーのティナ

ペルソナの作り方2

ここで特筆する点は、“Story”という項目です。こちらを簡単に紹介すると、

“HRのティナは、気さくな性格で事例やベストプラクティスを日常的に探しているタイプ。自社に変革をもたらしたいと考えているタイプでもあり(略)、……..予算が縮小し、現実に向き合わないといけない、と感じている。……オンラインでの学習が好きで、それらを同僚と議論することがある。しかし、多くのカンファレンスに出席する機会がない。一方で、業界に関係するブログが好きで、HRに関する雑誌やオンラインの新聞に目を通すことがある(略)….”

とあります。ここまでくると非常に明確です。オンラインに特化したコンテンツを出すことが優先的になります。また、雑誌などのオフラインソースに対してPR記事を出すことも大切となることでしょう。

例2:オペレーションマネージャーのフレッド

ペルソナの作り方3

この例では、フレッドの目標や課題が、

  • 成功とは:賃金の上昇と役職の昇格
  • もっとも重要な価値とは:雇用の保証、家族、成功していると感じられること、教会
  • もっとも大きな課題とは:新しいシステム、人をマネージメントすること、すべてのタスクをこなすこと
  • もっとも大きな欠点とは:外見、信頼がおけるか、持続性、最新情報に鈍い、間抜けに見えること

となっています。フレッドはかなり保守的なタイプのペルソナであることが見て取ることができます。この人にブログや、動画セミナーに重きを置いた、コンテンツマーケティングを行うべきでしょうか。おそらく、”No”となります。セミナーやDMなどの伝統的なチャネルを用いてメッセージを届けるほうが向いている可能性が高そうです。

例3:デジタルマーケティングマネージャーのアマンダ

ペルソナの作り方4

こちらのペルソナの特色は、“Reports to(誰に報告をするか)”という項目があり、その相手に“VP Marketing or Agency owner(マーケティング部門の執行役員もしくはエージェンシーのオーナー)”とあるところです。

それに対して、“HOW I AM ECALUATED(どのように評価されるか)”という欄に、

  • マーケティングプロジェクトの流れとデジタルマーケティングのプロセスに対する知識
  • ディテールと正確かどうか
  • デジタルとソーシャルメディアに対する分析に対する知識…..など

などがあります。この人はデジタルマーケターのためデジタルでコンテンツを届けることに問題はありません。おそらく検索の仕方なども上手なため、広告などクリックしてサイト流入をする、というよりは自然検索が向いているかもしれません。そうなると、戦術としてブログ、LP、Co-Marketingなどを上手に用い、ウェブサイトにより適切なSEO対策を行う必要性が高まりそうです。もしくはソーシャルメディアを上手に使いこなす必要がありそうです。

B2Bでもペルソナの定義は必要か?

リードプラスでも、よくお客様から「弊社はB2B企業なので、ペルソナは必要ですか?」などという質問をいただくことがあります。当然、必要なのですが、確かにB2B企業のペルソナは、子供が何人いるとか、結婚しているとか趣味やプライベートはあまり関係ありません。

B2CとB2Bによってペルソナの形は異なります。B2Bであれば決済が企業の状況に大きく依存します。また、個の特徴よりも企業方針や経営方針、経済環境に人々は大きく依存します。そのために、企業の特徴にフォーカスを強める必要がある可能性が高まります。

また、B2B企業の場合にはB2Cのような衝動買いを行う人はほぼ居ません。関係する登場人物も複数になります。意思決定を行う人、評価を行う人、助言する人、検証する人などそれぞれの役割があります。それらの役割に応じたコンテンツ開発や施策が重要になってくるため、時には同じものを売るのに複数のペルソナを用意することもあります。

B2Cの場合には個人的な項目が多くなり、B2Bの場合には仕事関係の情報が多くなります。いずれにしてもB2Bでもペルソナは必要ということをご理解いただければと思います。

ペルソナを作ることの重要性

ペルソナの重要性は、あなたのマーケティングとセールス活動の焦点を定めることの大きな助けになってくれることです。ピントが合っていない双眼鏡を覗いても目標物が見えないように、ペルソナを持っていないことは(理解していないこと)すべてのビジネス活動へマイナスの影響を与えます。もし、自信が完璧なペルソナを頭に描ける人材であったとしても、それを関係者全員で共有することが重要になります。何故ならあなた程明確にペルソナを理解していない可能性があるからです。

今回例に出した“フレッド“に対してのマーケティングメッセージを”ティナ”と同じチャネルを用いますでしょうか。”NO”という回答が適切だということが容易に想像つくかと思います。

マーケティングチームだけではなく、社内全体でペルソナの理解を進めることによってさらにその精度はあがります。一回作るだけではなく、定期的にペルソナを見つめ直し、どのようにマーケティングメッセージを届けるかを考え続けることが重要なのです。

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