サンクコスト(埋没コスト)の意味やビジネスとの関係などを解説

 2019.07.10  LeadPlus

サンクコストとは、「回収ができなくなった投資費用」を意味し、イニシャルコストやランニングコストと同様に、意思決定に影響する重要な項目です。今回はこのサンクコストについて例やサンクコスト効果などについて詳しく解説します。

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「コストの回収」という考え方について

コストの回収は、投下した費用を売上などから取り返すという考え方を象徴しています。特にビジネスへ参入する際は、イニシャルコストとその回収について考えなくてはいけません。例えば、継続的な企業活動にはランニングコストがかかりますが、このランニングコストについては、収入が支出を上回っている場合に、「コスト回収に成功している」と判断できます。

しかし、事業をはじめる際に必要な機械の導入や、施設の建設に必要な費用にあたるイニシャルコストは先行投資であり、時間をかけて回収する必要があります。事業から出た利益の合計がイニシャルコストを上回った段階で、ようやく事業が黒字化したと判断します。ちなみに、利益は事業を通じて得た売上から、材料費、人件費などのランニングコストを差し引いたものです。継続的に企業活動を行うには「コストの回収」という考え方が大切になります。

サンクコストは回収ができないコストを意味する

サンクコストとは、「回収ができなくなった投資費用」を意味し、イニシャルコストやランニングコストと同様に、意思決定に影響する重要な項目です。「意思決定に影響する」という部分についてより具体的に解説すると、過去に投資した金額が大きければ大きいほど、そのコストがサンクコストになった時に取り返そうとする心理が働くため、誤った意思決定をしてしまうおそれが大きくなる、ということです。

ビジネスにおいて、市場のサンクコストが0であれば、事業に容易に新規参入・撤退が可能なため、「市場が競争的である」と判断できます。また、少数の企業が市場を支配しているかどうかの判断は、すでに参入している企業数だけではなく、新規参入障壁の高さも加味する必要があるため、ここでもサンクコストについて考える必要があります。

サンクコストの例

サンクコストはビジネスを左右する重要なコストですが、イニシャルコストやランニングコストがサンクコストになることもあるため、適切に分離するのは感覚的に難しい面があります。そこで、日常的なサンクコストの例から、サンクコストの考え方を身につけていきましょう。

(例1)映画館の前売り券を家に忘れてしまった

例えば、代金1800円を払って前売り券を購入していたにも関わらず、自宅にチケットを忘れたとします。その際、当日券を購入するかどうかの意思決定を迫られることになり、一般的には忘れてきたチケット分と合わせた金額(3600円)を払ってその映画を観るか、という基準で意思決定をする傾向があります。

しかし、行動経済学の視点で見ると、映画を観ることに1800円以上の価値を見出しているのであれば、チケットを再購入して映画を観るのが合理的な選択とされています。まず、忘れてきた前売り券の代金1800円はすでに投資してしまっていて回収できないため、サンクコストに分類されます。そのため、本来であれば当日券を購入するという意思決定をするにあたり、前売り券代1800円は無視するべきです。当日券が1800円で、映画を観ることに1800円以上の価値を見出しているのであれば、投資するコストを回収できるため、当日券を購入するべきだと判断します。

飲食店の順番待ち

長蛇の列ができている飲食店に並んでいる際、並んですぐであれば「他の店に変えよう」と意思決定をすることは簡単です。しかし、長時間並んでいると「ここまで並んだんだからあと少し並んでみよう」と、今まで投資した時間を惜しみ、他の店への変更を意思決定することが難しくなります。この「過去並んだ時間」がサンクコストで、他の店へ変更するという意思決定においては、これを排除して検討する合理性が必要になります。

オフィス街の飲食店を土日も営業する

休業日も家賃は発生していますし、調理器具やテーブルなどは初期投資として購入していることから、土日には人通りの少ないオフィス街でも営業すべきだという意思決定をしてしまうオーナーがいます。しかし、家賃や調理器具、テーブルなどはサンクコストであるため意思決定には加味するべきではありません。お店を開くと食材費や人件費、空調費などが発生するので、それらの費用を売上が上回るかどうかのみが、営業すべきかどうかを判断する材料になります。

ギャンブル

パチンコやスロットなどは、店舗に利益が出るように各台が設定されています。例えば3万円を投入して当たりが出ていない場合「あと5000円投入すれば当たりが出るのではないか、もう少しかけてみよう」という心理が働き、さらに負けを大きくしてしまいます。3万円はすでに回収できないサンクコストになっているので、それを投資の判断に持ち込んではいけません。今回のケースでは、3万円の投資で成功しなかった投資を5000円の投資で成功させることができるかといえば、確率は限りなく0に近いといわざるを得ないでしょう。サンクコストの考え方を熟知していれば損失は3万円で済んだにも関わらず、投資を繰り返し、損失を大きくしてしまう事例です。

カラオケのフリータイム

カラオケのフリータイムのために支払った料金もサンクコストです。はじめに料金を支払ったのだから時間いっぱいまで歌わないと損した気分になったり、惰性的に時間を消費してしまったりと様々なケースが考えられます。本来料金はカラオケを楽しむための権利を購入するためのものであったにも関わらず、元をとることに意識が向いてしまっているのです。これも本来の意思決定がサンクコストの影響を受けてしまった事例です。

サンクコスト効果(コンコルド効果)とは

サンクコスト効果とは、回収不能となった投資金額や時間を惜しみ、投資を継続してしまったり意思決定を誤ってしまったりする心理的傾向のことです。コンコルド効果という名称は1960年代にイギリスとフランスが共同で開発した、超音速旅客機の名称に由来します。

コンコルドはパリとニューヨークを3時間以下で繋ぐという点を売りとして開発された超音速旅客機です。しかし、開発過程で離着陸できる空港の条件がシビアであったり、乗員数が100名程度と採算ラインに乗せるのがほぼ不可能であったりなどの理由から、発注のキャンセルが相次ぎました。その結果、採算がとれるとされていた250機より大幅に少ない製造数に留まり、製造中止に至りました。それでも黒字化できると信じて続けていた企業はコンコルド事業による赤字が膨らみ、飛行機事故をきっかけにプロジェクトは放棄されました。

こうしたサンクコスト効果は認知的不調和や一貫性の原理といった複数の心理効果が重なった結果として発生します。認知的不調和は自分自身の損失を認めたくないために、要因を他に押し付け、自分自身を正当化する心理で、一貫性の原理は自分自身で意思決定したことに対して最後まで一貫性のある行動をとろうとする心理のことです。一貫性は、社会的にも評価される指標であるため、顕在的であっても心理的な影響をもたらします。

また、1億円を持っている人の1万円と1万円しか持っていない人の1万円とでは価値が異なります。5000円と1万円の服は価格が2倍になるため、大きな価格差があるように感じますが、20万円と20万5000円のパソコンにはそれほど価格差がないように感じるのではないでしょうか。このように人には金額や名目に潜在的に依存し、それに応じた使い方をしてしまうという心理作用の影響を受けます。この作用をメンタルアカウンティングと呼びます。

メンタルアカウンティングは、何かを購入するごとに新たな名目をつくらないようにすることで防げます。パソコンを買うためのお金、洋服を買うためのお金などと名目ごとに心の中に口座を開設するのではなく、自由に使ってよいお金とひとまとまりに考え、その中から支出をする仕組みづくりが大切といえるのです。

サンクコスト効果はビジネスにも関係する

サンクコスト効果は、ビジネスにおいても発生することがあります。多くの場合、多額の費用を投じて新規事業を立ち上げた際、事業がうまくいっていなかったとしても、投じた費用を考えてあとに引けなくなります。そして、損失はさらに増していくことも少なくありません。

例えば、ある企業が1年をかけて市場調査を行い、万全の準備を行ったあと、社運をかけて新規参入したとしましょう。その事業が2年に亘って連続で赤字を出し、事業の進退を決定しなければならなくなった際に、企業としては「参入する時に莫大なイニシャルコストがかかっているため、回収できるまで事業を継続したい」と考えてしまいがちです。しかし、すでに投じたコストとはサンクコストなので、今度の発展性が見込めるかどうかの一点において、決定するべきといえます。

このように過去投じたお金や時間に価値があるという錯覚を引き起こすサンクコスト効果は、ビジネスにおいて悪影響を及ぼします。そのため、行動経済学の観点においては現在や未来において合理的な意思決定をするために、サンクコストを無視して意思決定を行うのがよいとされています。より簡単にいえば、合理的な判断をするためには、今と未来を意識することが大切であると言い換えられます。過去に投じた費用に依存することなく、「今からどうなるのか?」と将来を見据えて意思決定を行うことが重要です。


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