BtoBマーケティングの領域で注目を集めるABMとはどんなマーケティング手法?

 2020.01.06  LeadPlus

BtoBマーケティングの領域で「アカウントベースドマーケティング(ABM)」が注目を集めています。弊社においてもHubSpotを活用してABMをやりたいのだけれど設定をお願いできないかなどの依頼が増えています。ABMは、企業のターゲットアカウント(企業)単位で適切なマーケティングが実行するための手法であり企業の営業戦略を強力にサポートするマーケティング戦略です。今回はこのABM(アカウントベースドマーケティング)登場の背景やメリット、施策例などをご紹介します。

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ABMというマーケティング手法の基本

ABMというマーケティング手法を理解するには、まず基本的な意味や考え方を正確に知ることが大切です。また、実際に活用を検討する際は、従来のマーケティング手法との違いや、注目されるに至った背景を知ることも役に立つでしょう。

ABMの意味と考え方

ABMとは、有力な見込み企業・団体といったターゲットを明確に定義し、個別に最適化したマーケティング戦略を行うことです。ABMとは「Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)」の略で、市場を均質化するのではなく、個別に最適なアプローチを行うという特徴があります。

ABMでいう「アカウント」とは、一つ一つの具体的な企業・団体を指します。一般的なマーケティングのアプローチでは、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)というフレームワークに沿って、顧客を分類し、ターゲットを設定します。顧客を分類する際は、年齢・性別・世帯・エリアといった顧客属性を基準に、いくつかのセグメントに分けていくのが普通です。そして、実際の戦略策定では、ターゲットを特定の個人・企業とは見なさず、セグメントを同じニーズ・特性を持ったグループとしてマーケティング戦略を組み立てていきます。

ABMでは、このようなグループ分けやターゲット設定の方法を一部で使うことはあるにせよ、現実の戦略まで落とし込む際は、個別の企業・団体に対して「そのターゲットが何に困っていて、ニーズは何か」を出発点に発想していくという考え方です。

また、ABMはターゲティングだけでなくマーケティングのアプローチも個別に行っていきます。潜在顧客が抱える具体的な悩み・需要を起点にして、その時々に必要なソリューションを柔軟に提案していくのが基本的な考え方です。
つまり、ABMではターゲティングからアプローチ、ソリューションまで、あらゆる面でカスタマイズしていくマーケティング手法です。

ABMと従来のマーケティング手法との違い

ABMの手法が新しい点は、個別化マーケティング戦略にITを導入している点です。具体的な顧客に対して個々の悩みやニーズを聞き出し、カスタマイズしたアプローチをするという考え方そのものは、特に目新しいものではありません。BtoCであれば、美容・医療系の業種は個人の顧客ごとに別々の商品・サービスを提供するのが当たり前です。他にも金融商品アドバイス、オーダーメードスーツ、注文住宅など、個別のソリューションを提供するビジネスはよく見られます。またBtoBであっても、例えばシステム開発は営業から設計、導入まで綿密にクライアント企業とコミュニケーションを取り、顧客の状況に合わせて最適化したシステムを提供するのが普通です。

しかし、従来はこのような個別型マーケティングを行うには、社内で情報共有のために打ち合わせ、電話、メールなどを頻繁に行う必要があり、コミュニケーションには時間的・物理的な限界がありました。また、「収集した顧客情報をどのように扱えば良いのか」という点も課題として存在していたのです。その結果、営業担当者の経験や勘に頼ることも多い上に、地道な労力を要するという課題もありました。

一方、ABMとは、このようなマーケティング戦略を行う際、ITツールを活用してシステマチックに実施する方法です。従来はアナログに頼らざるを得なかった情報収集・情報共有ですが、現在は効率化するためのITツールが数多く提供されています。例えば、大手のセールスフォース、SAP、オラクルをはじめ、中小企業向けにMA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(顧客関係管理)といったシステムが数々登場し、顧客情報を管理する負担は飛躍的に減少しつつあります。そこで、従来とは違った形で、ITシステムを活用しながらマーケティング活動を行うのがABMです。

ABMが注目された背景

ABMが注目された背景には、顧客を選別するアプローチ方法への転換と、ITの発展の2つがあります。

1つ目の顧客の選別とは、主に米国で見られる転換です。米国の大企業では、もちろん全ての企業ではありませんが、日本のようなボトムアップの営業・顧客サポートというよりも、リーダーからのトップダウンで意思決定が行われる傾向があります。

このような状況でマーケティング活動を行う場合、特定顧客が起点ではないため、個々の顧客に対して細かいケアをするのは効率的とはいえません。集客のためには見込み顧客へ片端からアプローチし、膨大なリードを集めていく戦略が効率的ということになります。

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しかし、このような方法がマッチしない企業があるのも事実で、大量のリードを集めても画一的なアプローチではコンバージョンに限界があります。むしろ、潜在的に購入意欲の高い顧客に狙いを定めて集中的に営業を行う方が、費用対効果が高いと認識されはじめたことが背景の1つにあります。コンテンツの量より質に、注力ポイントが移ってきたわけです。

2つ目として、ITの発展があります。個別アプローチは高い成約率やライフタイムバリュー(一定期間に顧客1人・1企業当たりから受け取る収益)向上につながる可能性がある一方で、手間暇がかかるデメリットがあるのも事実です。しかし、近年はどのような業界でも、IT化によって情報の収集も測定も容易になりつつあります。小売店レジのPOSシステム、WEBサイト内の回遊履歴、SNSへの反応率、WEB広告からのアクセス獲得など、顧客接点を定量的に管理する方法は多様化しており、顧客との商談、メール、スケジュールなどを一元管理するツールも普及しています。

つまり、近年はこれまで以上に個別顧客への対応がしやすい状況にあり、ABMを導入できる環境は整っています。そこで、ABMが注目を集めているのです。

ABMを導入することのメリット

ABMの導入は、省力化しながら効率的に成果を得られるなど、さまざまなメリットがあります。限られたリソースであっても、担当者同士で適切に連携しながら、マーケティング活動の精度を高めていくことができるでしょう。

リソースの効率的な活用

ABMは、アプローチすべき企業をあらかじめ選別して、経営資源を投下する「選択と集中」の考え方です。成約する見込みの薄い顧客に対して「リソースを投下したにもかかわらず成果につながらない」という失敗を回避する可能性が高まります。それにより人材や資金を効率的に活用することができます。

また、少数の顧客に集中的にアプローチを行うため、従来よりも手厚いケアができ、マーケティング活動のクオリティー向上も期待できるでしょう。パレートの法則によると、全売上のうちの8割は上位2割の優良顧客によって生み出されるということです。見込みが高いクライアントに配分できるリソースが増えれば、組織全体の人員や資金は同じままでも、売上高を効率的に増やせる可能性もあります。

営業とのスムーズな連携が可能

ABMでは、営業担当者やマーケティング担当者などが一体となって情報共有に当たるものですが、ITシステムを活用するため、スムーズな情報共有が可能になります。また、ターゲットとすべき顧客をあらかじめ選別し、社内リソースを集中配分することにより、クライアント1社当たりにかけられる量や質が増え、社内コミュニケーションを密に行うこともできます。

リードの追跡・効果測定が容易

ABMでは、MAツール、CRMを活用して顧客情報を社内で管理することを基本にしながらマーケティング活動を行います。従来の営業担当者の個人プレイや、経験・勘に頼る方法とは違い、リードやその後の連絡、商談といった営業履歴をシステムで管理できるため、営業担当者や社内の別担当者ともに、経過の追跡が容易にできます。また、A/Bテストやキャンペーンといったマーケティング施策を行う際も、定量的なデータがシステム上で分析できるため、効果測定を容易に行えるようになります。

このように、分析がしやすくなることで、サイクル(計画・実行・評価・改善を繰り返すこと)の回転を高速化でき、よりマーケティングの精度が向上していくでしょう。

ABMの施策例

ABMを活用した施策には、業務効率化や部門間連携など、さまざまな目的のものが考えられます。

例えば、マーケティング部門と営業部門で、ターゲット選定の方向性を一致させ、双方が一体となって顧客獲得につながるような仕組み作りが可能です。マーケティングと営業部門が分かれている企業の場合、双方でターゲット選定が異なるケースがあります。営業担当者は顧客からの引き合いや、既存顧客との付き合いなどからアプローチすべき顧客の優先度を決定する。一方で、マーケティング担当者は広告へのリアクション、メールマーケティングやWEBサイトでの回遊状況といった別の視点から見込み顧客の重要度を判断するといった場合です。

このような課題を抱える企業では、ABMの考え方に沿って、マーケティング担当者と営業担当者双方の知見を参考にしつつ、アプローチをすべき見込み顧客の重要度を定め、集中的にリソースを投下していく施策が有効です。また、システムによってリードからナーチャリング、成約に至るまでのプロセスを定量的に見える化し、過去のデータから最も成約につながりそうな顧客パターンを分析する方法も有効でしょう。それによって、営業担当者のプロセス改善につながる可能性や、マーケティングでは営業実態に即した分析ができるようになる可能性もあります。

ABMのアカウント選定から効果測定までの流れ

ABMを導入する際は、考え方だけでなく、アカウント選定から効果測定までの流れを知ることが大切です。

アカウント企業の選定

ABMにおいては、まずアカウント企業の選定・優先順位が非常に重要です。収集したデータを元に、「リソースを投入した結果、成約まで結びつくのか」「マーケティングROIは高いのか」といった観点を基準に、市場での影響度や見込まれるリピート率などさまざまな角度から優良なターゲット企業を見極めていきます。
多くの場合、大口の顧客や、自社ブランドが中長期的に向上していくような企業の優先度が高くなるでしょう。仮に取引履歴や引き合いの強さといったデータがあれば、それらも判断基準の1つになります。

アプローチ方法の決定

アプローチ方法は、コミュニケーションとソリューションという2つの観点から検討する必要があります。

コミュニケーションについては、「アカウント企業の意思決定の仕組みはどうなっているのか」「窓口や担当はどのような人物か」といった調査を元に、アプローチの方法を見定めていきます。また、このときに目標としてリード率、メール・セミナーへの反響率、アプローチ時期・回数、見込み成約率なども設定しておきましょう。

ソリューションとは、企業が置かれている事業環境や経営状況などを調査した上で、ビジネスやサービスについて抱えている困りごとや課題、ニーズを推測し、最適な解決策を提示することです。もちろん、実際に商談に入れば企業の生の声に触れて軌道修正する必要があるでしょう。しかし、企業が直面している明確で重要な課題に対応できるような有益なコンテンツが提供できれば、交渉に入れる可能性は上がるでしょう。これには十分な調査と準備が重要です。

効果測定

アプローチを実行した後は、常に施行状況や結果を記録し、効果を測定します。このとき、あらかじめ定めた目標との乖離を見ながら、その原因を分析しましょう。目標値やアプローチ回数とのずれが起こるのは当たり前です。「目標が高すぎる」「アプローチ方法が誤っていた」「アカウントのニーズの調査不足」など、さまざまな原因がありえます。この場合も、可能な限りマーケティング担当者と営業担当者が連携しながら改善点を探し、PDCAを効率的に回していきましょう。

ABMに活用できるツール

ABMのツールにはさまざまな種類があるため、選ぶ際にはその魅力や特徴を押さえておき、自社のニーズとマッチするものを使うことが重要です。

HubSpot社

HubSpot社のMarketing Hubは、ターゲット企業訪問時のWebコンテンツの出し分けや社内担当営業への通知、特定企業向けのナーチャリング など細かな設定が可能であり、アカウント単位でのマーケティングを実践することが可能です。Webを介してターゲット企業の行動の全てを補足することで企業のストーリーに合わせた誘導が可能になります。また、HubSpot Sales Hubを活用すれば営業活動の効率化を実践することもできます。

https://www.leadplus.net/hubspot

ランドスケイプ社

ランドスケイプ社の「uSonar」は、社内の各部署で保管する取引先データや名刺、資料請求などを含むリード情報を整理・統合し、セールスフォースなどのSFAや、MAツールを強化するシステムです。WEB行動履歴から顧客の関心を分析する機能や、アカウントの担当者情報を管理する機能はもちろん、高精度の名寄せ技術で人の感覚に近いデータ管理ができるという特徴を持っています。既存のSFA・MAツールと連携が可能なため、顧客データを活用して効率的なマーケティング活動や営業活動を行う場合にも適しているでしょう。

https://www.landscape.co.jp/service/usonar/

マルケト社

マルケト社のアプリケーションでは、単一のプラットフォームで、アカウントターゲティング、収益ベースのアカウントアナリティクス、リード履歴などを一元管理することができます。特に、メール、WEB、広告、モバイルなどあらゆるチャネルにわたって、パーソナライズしたメッセージを届けることが可能で、個別アプローチの負担を減らすツールといえるでしょう。
https://jp.marketo.com/software/account-based-marketing/

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